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【読了ガイド】『真ク・リトル・リトル神話体系6』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『真ク・リトル・リトル神話体系6』│収録作品・購入方法まで紹介

真6

本書は、新編真ク・リトル・リトル神話大系の第六巻である。

収録作品は「序」、「クラウチ・エンドの怪」、「不知火」、「木乃伊の手」、「暗黒の復活」、「シャフト・ナンバー247」の6編となっている。現代の小説家キングのクトゥルフ神話作品が読める点が特徴で、「シャフト・ナンバー247」も非常に面白い作品として挙げられる。

  • 「序」 R・キャトルフ
  • クラウチ・エンドの怪」 S・キング
    • ロンドン郊外クラウチ・エンドの派出所で、新任のファーナム巡査はアメリカ人女性の取り乱した証言を「狂言」と判断しようとしていた。
      しかし長年この地区を担当するヴェター巡査は、「世界をボールだと考えてみろ。皮の薄くなっている部分がある—それがクラウチ・エンドだ」と語る。
      ドリス・フリーマンは、夫ロニーと文通相手ジョン・スクエイルズに会うためクラウチ・エンドを訪れたが、タクシーを降りて電話ボックスに向かった後、ロニーが忽然と姿を消した。
      町では「地底の惨劇 60名遭難」という奇妙な看板も目撃していた。
      この世界と別の何かとの境界が薄くなる場所で、ロニーに何が起きたのか。
  • 不知火」 A・A・アタナジオ
    • ヘンリー・イーストンはガストーとの取引用のヘロインを小川に隠す際、足を鋭い石で深く切ってしまう。
      失血で意識を失った彼は終夜灯の廊下をさまよい、白い光に満ちた異界で黒い太陽を目撃する。
      奇妙な人物から「耳を閉ざせ、闇を広げろ」と告げられ病院で意識を取り戻すが、足の傷は塞がらず黒い物質が滲み出していた。
      パートナーのマイクはガストーの手下に追われヘロインの在り処を求めるが、ヘンリーの足から滲む黒い影が病室を侵食し始める。
      彼の現実は黒い太陽の下で告げられた謎の言葉によって徐々に書き換えられていく。
  • 木乃伊の手」 B・ラムレイ
    • 観光客のハリーとジュリアはハンガリーの「魔女の町」にある黒い石を見学後、ジュリアが原因不明の頭痛に悩まされるようになった。
      宿泊先で教会について尋ねると、主人は修道士を名乗る男が住む危険な場所だと警告し、「何も触れてはならない」と忠告する。
      二人が教会を訪れると白髪の老人モールゼンが現れ、図書館で魔導書を見せた後、地下納骨堂へ案内する。
      そこには女性ミイラがあり、足元の小箱には異形の生物が描かれていた。
      ハリーがミイラの手を取ると、壁画が露わになり血の色で描かれた恐ろしい儀式が現れる。
      モールゼンは「この寺院はクトゥルフとその眷属のため」と告白した。
  • 暗黒の復活」 F・B・ロング
    • ニューイングランドの海辺の村で、私は未亡人ヘレン・ラズボーンと二人の子供ジョンとスーザンと知り合う。
      活発な少年ジョンが危険な岸辺に向かったため追いかけると、彼は夢で見たものを探していると言いながら腐った板から海に落ちてしまう。
      救助したジョンの手には、光沢のあるゴムのような質感で、老人の顔を思わせる触手状突起を持つ奇妙な小さな像が握られていた。
      海水に濡れてもなお不思議な光を放つその像を見つめるヘレンの表情が変わる。
      子供の好奇心が導いた発見だったが、その像の存在の裏には別の物語が眠っていた―。
  • シャフト・ナンバー247」 B・コッパー
    • 深夜の監視室で、ドリスコルは同僚ウェインライトの異常な反応に困惑していた。
      ウェインライトは些細な警報音にも過剰に反応し、精神障害と呼ぶべき状態だった。
      2年前に何かがあったディームズの記録は閲覧禁止になっており、ウェインライトに直接会うと「ディームズはシャフトの中にいる」と告げられる。
      彼はシャフト・ナンバー247での奇妙な音と影について語り、ディームズが「自由になりたい」と言いながらシャフトの向こう側を探していたことを明かす。
      ディームズは何かを見つけ、その後247は「除去」された。
      青白いモニター越しに見る無数のシャフト。彼らが監視しているもの、そして監視されているかもしれないもの。

出版社:国書刊行会

発売日:2020/12/18

ページ数:253ページ

価格:紙版:1650円/電子版:1320円

良い点

  • 復刻で持ち運びがしやすくなったことが非常に良い点
  • 後に映像化もされたスティーヴン・キングの「クラウチ・エンドの怪」が収録されている
  • キング作品は現実世界と隣り合わせの異界を描いており、無闇に長くないのも好印象
  • 典型的なクトゥルー神話から一歩進んだと感じさせる、これまでとは一味違う作品が収録されていて面白い
  • 巻末の『パタリロ!』でおなじみ魔夜峰央のインタビューが非常に興味深く、楽しめる

気になった点

  • アタナジオの「不知火」は、ハードボイルド的な登場人物を使っていて趣向的には新鮮だが、怪奇小説のストーリーとは噛み合っていない
  • キング作品は他のクトゥルー神話とは若干肌触りが異なる感じがする

こんな人におすすめ

  • スティーヴン・キングのクトゥルフ神話作品に興味がある人
  • ラヴクラフト、ダーレス亡き後の第2世代の作家たちの作品を読みたい人

本書は、クトゥルー神話の現代的な解釈と展開を示す第六巻として、特にキングの参加により神話体系の新たな可能性を提示した作品集である。

従来の枠組みを超えた実験的な要素を含みながらも、神話の本質を保持した貴重な一冊となっている