【読了ガイド】『タイタス・クロウの事件簿』│収録作品・購入方法まで紹介
はじめに
本書は、ブライアン・ラムレイによるタイタス・クロウサーガシリーズの短編集である。
収録作品は「誕生」、「妖蛆の王」、「黒の召喚者」、「海賊の石」、「ニトクリスの鏡」、「魔物の証明」、「縛り首の木」、「呪医の人形」、「ド・マリニーの掛け時計」、「名数秘法」、「続・黒の召喚者」の11編となっている。
執筆順ではなく、タイタス・クロウの人生に沿って並べられた構成で、すべて新訳である。他が長編に対して、クロウを短編で知ることができる貴重な作品集で、「魔物の証明」はイェグ=ハが登場する唯一の作品である。
収録作品リスト
- 「誕生」
- 「妖蛆の王」
- 「黒の召喚者」
- 「海賊の石」
- 「ニトクリスの鏡」
- 「魔物の証明」
- 古代ローマの辺境でロリウス・ウルビクスが著した「国境の要塞」は、蛮族によって召喚された魔物イェグ=ハと、ローマ軍との壮絶な戦闘を記録していた。
恐るべき存在がローマの精鋭を次々と打ち砕く中、恐怖に駆られた一兵卒の剣が奇跡的にこの怪物を討ち取る。
20世紀、480体の惨殺されたローマ兵士の遺骸が発見され、この記録の真実性が問われる。
タイタス・クロウが『イェグ=ハの王国』を出版すると激しい論争が起きる。
怪奇画家デイヴィーズは歴史への冒涜だと批判するが、クロウが提示する証拠の数々と最後の決定的な「何か」が真実を物語る。
- 古代ローマの辺境でロリウス・ウルビクスが著した「国境の要塞」は、蛮族によって召喚された魔物イェグ=ハと、ローマ軍との壮絶な戦闘を記録していた。
- 「縛り首の木」
- 「呪医の人形」
- 「ド・マリニーの掛け時計」
- 「名数秘法」
- 「続・黒の召喚者」
文庫版仕様の詳細
出版社:東京創元社
発売日:2001/3/11
ページ数:349ページ
価格:紙版:715円
購入ガイド
読者レビューまとめ
良い点
- オカルトと事件簿両方が好きな読者の好みのど真ん中を撃ち抜く内容
- 呪いなどの非科学的要素を調べて対処法を見つけていく展開で、事件簿ものとしても違和感なく読める
- 翻訳のセンスが良く、タイトルや作中の本のタイトルがおどろおどろしくてかっこいい
- 洗練された読み物で、主人公が親近感のわくスーパーマン的でない存在
- 悪に立ち向かう正義感と、書物や友人に助言を求める態度に人間の美徳を感じられる
- ラヴクラフト系ではなくダーレス派の極端な『エンターテイメント性』が強い
- 『オカルトホラー』ではなく『オカルトアクション』として楽しめる
- 非常に読みやすい文体で、夏来健次氏の訳が素晴らしい
気になった点
- ストーリーの盛り上げ方が下手で、結末の作り方があまりにも酷いという評価
- 古くからのラヴクラフト派には首を捻る部分があるかもしれない
こんな人におすすめ!
- 事件簿ものが好きな人
- 『機神咆哮デモンベイン』のファン
- 『スカッ』とするクトゥルフものを読みたい人
- 本格的なホラーとオカルト探偵の融合を楽しみたい人
まとめ
本書は、ラヴクラフトの世界観を基に、太古の邪神たちの知恵を正義のために使う探偵の物語として、従来のクトゥルフ神話とは異なる、エンターテイメント性の強いアプローチを示した作品集である。
評価は大きく分かれるものの、ホラーファンとオカルト探偵ファン両方が楽しめる独特の位置づけを持つ一冊となっている。




