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食屍鬼の神

食屍鬼の神

The Charnel God

クラーク・アシュトン・スミス
概要
登場人物
あらすじ

米国のホラー作家クラーク・アシュトン・スミスが手掛けた短編ホラー小説で、ウィアード・テールズ誌1934年3月号に掲載された。

本作は未来大陸ゾティークを舞台とし、死者を供物として受け取る神モルディギアンを中心に据えている。当初はクトゥルフ神話の一部として構想されたものではなく、モルディギアンの神官たちも明確に食屍鬼とは定義されていなかった。しかし、モルディギアンがTRPGに導入されたことで、クトゥルフ神話に登場する食屍鬼たちの崇拝対象として位置づけられるようになった。これにより、ゾティーク世界からクトゥルフ神話へと明確に取り込まれた、数少ない作品の一つとなっている。

東雅夫は『クトゥルー神話事典』で、スミスがラヴクラフト・サークルの作家陣の中で唯一、ラヴクラフトとは異なるアプローチで神話体系に参入したことに言及している。東は「その舞台が現実離れした架空世界であることも相まって、ラヴクラフト神話以上に奔放な幻想性に満ちている」と評し、本作に登場するモルディギアンを食屍鬼の神として扱っている。

【収録】

  • ファリオム…主人公
  • エライス…ファリオムの妻、強硬症
  • 旅籠屋のおじさん
  • フェンクワー…ズル=バー=サイールの王
  • 国王カレボス…ファリオム達の国の王
  • アルクテラ…フェンクワーの娘
  • アロス…アルクテラの婚約者
  • アブノン=サ…魔術師
  • ナルガイ…アブノン=サの弟子
  • ヴェンバ=チス…アブノン=サの弟子
  • モルディギアン
  • 食屍鬼

【舞台】

  • ズル=バー=サイール

ズル=バ=サイルの街。死者を神への贄とする奇妙な習慣が根付くこの地に、運命に翻弄された一組の夫婦が足を踏み入れる。

エライスとファリオム。彼女は、まるで死んだかのように身体が麻痺する持病を抱えていた。新たな人生を求めて旅立った二人だったが、盗賊の襲撃により、この不吉な街へと迷い込んでしまう。

そして悪夢は始まる。宿で発作を起こしたエライスは死亡と誤診され、神モルディギアンへの贄として神殿に運び込まれてしまう。ファリオムの必死の抵抗も虚しく。

一方、妖術師アブノン=サは、自らの欲望のために神殿から死体を奪い取ろうと企てる。彼は神モルディギアンを侮り、たかが食屍鬼程度だと高をくくっていた。

絶望的な状況の中、ファリオムは神殿への潜入を決意する。無数の死体が横たわる祭壇で、彼は愛する妻の姿を見つける。ここから、夫婦の命がけの脱出劇が幕を開ける。

しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、街の人々の信仰心か、それとも…。

果たして神の手から逃れることができるのか。そして、神モルディギアンの真の姿とは―。

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