猟犬

猟犬

The Hound

ハワード・フィリップ・ラヴクラフト 全集5 クト4 新訳2
概要
登場人物
あらすじ

本作は3,000語の短編小説で、1922年10月に執筆された。初出は1924年WTの2月号で、その後1939年の9月に再掲された。単行本初収録はOで、校訂版がDに、詳註版がAn2巻とCCに収録されている。

この物語は、1922年にHPLが友人のラインハート・クライナーと共に、ブルックリンにあるオランダ人改革派教会の墓地を訪れた後に書かれた。そのため登場人物のセント・ジョンのモデルはクライナーだと考えられる。

『魔犬』は、凝りすぎた文体に批判が寄せられつつも、文学的な隠喩が次々に浮かび上がり、セルフパロディとして解釈できる。セント・ジョンの「あの呪われた品物だ」という言葉や、「赤死病」の描写、日付を隠す手法などはアンブロー・ビアースやエドガー・アラン・ポーへのオマージュと考えられ、猟犬の吠え声はアーサー・コナン・ドイルの『バスカヴィル家の犬』やジョリ・カルル・ユイスマンスの作品に影響を受けている。

また、本作は 「ネクロノミコン」について、作家をアブドゥル・アルハザードによるものと定めたりと詳細があることから、ラヴクラフトの神話作品の中で重要視されている。

  • セント・ジョン
  • 500年前の墓荒らし…最初に翡翠を盗んだ人

【舞台】

  • 1900年代 イギリス

倦怠に満ちた日々を送る語り手と友人セント・ジョン。彼らが見出した刺激とは、なんと墓荒らしという禁忌の行為だった。道徳の境界を軽々と超え、彼らは死者の眠りを妨げることに快感すら覚えていた。

しかし、500年の時を経た古墓から持ち帰った一つの品が、彼らの運命を大きく狂わせる。翼の生えた犬の姿をした、不気味な魔除け。

家の中に響く、正体不明の羽ばたき音。夜の闇に轟く、巨大な猟犬の遠吠え。これらの現象は、彼らの想像の産物なのか、それとも…。

そしてある夜、悲劇が起こる。セント・ジョンが何者かに襲われ、命を落とす。彼の最期の言葉は、あの魔除けについてだった。

親友を失った語り手を待ち受ける運命とは? 魔除けの真の力とは? そして、500年の時を超えて彼らを追いかける”何か”の正体とは――?

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