概要
登場人物
あらすじ
本作は1929年、WTの3月号に収録された、ロングが書いた二番目のクトゥルフ神話作品。
- フランク
- ハルピン・チャーマズ
神秘主義に傾倒する作家ハルピン・チャーマズは、時空を超える冒険を企てる。彼が選んだ手段は、謎めいた幻覚剤「遼丹」。友人フランクの立ち会いのもと、チャーマズは未知の領域へと意識を解き放つ。
薬の効果は絶大だった。チャーマズの精神は瞬く間に過去へと飛翔し、人類の歴史を駆け抜け、生命誕生以前の混沌へと突入していく。そして遂に、宇宙創成の瞬間すら超越した、言葉では表現し難い世界にたどり着く。
そこで彼を待ち受けていたのは、「不浄の猟犬たち」と呼ばれる戦慄すべき存在だった。通常の空間概念を超えた「角度」を通じて接近してくる彼らに、チャーマズは底知れぬ恐怖を覚える。
現実世界に引き戻された後も、その恐怖は彼につきまとう。チャーマズは猟犬たちの追跡を逃れようと、常軌を逸した行動に出る。部屋の隅々を石膏で埋め、完全な球体の空間を作り出すのだ。
フランクの目には、親友の狂気じみた振る舞いが映る。しかし、チャーマズにとってそれは生き残りをかけた切実な防衛手段だった。角を消し去ることで、異次元の脅威から身を守ろうとしていたのである…。