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カルコサの住民

カルコサの住民

An Inhabitant of Carcosa

クト3 アンブローズ・ビアース
概要
登場人物
あらすじ

本作は1983年に執筆された。

  • ホセイブ・アラル・ロバルディン…主人公
  • ベイロレス…霊能者

【舞台】

  • カルコサ

陰鬱とした風景の中、主人公はカルコサを目指していた。道中に見えるのは傾いた墓石ばかり。死者たちの世界を歩むかのような不気味な旅路が続く。

この荒涼とした道程で、突如として野獣に襲われそうになる主人公。死を覚悟で逆に攻撃に転じると、獣は驚いたように逃げ出した。恐怖すら抱かない主人公の姿に、何かしらの違和感が漂う。

獣の逃げた先に一人の男がいた。主人公はカルコサへの道を尋ねるが、男は奇妙な言語で歌を口ずさみながら、答えることなく立ち去ってしまう。その姿は影のように不確かで、現実とも幻とも判別しがたい。

疲れ果てた主人公は、一本の古びた木の下で休息を取ることにした。風の音だけが響く静寂の中、近くにある平たい石の存在に気づく。近づいてみると、それは碑銘が刻まれた墓石だった。

そこに記されていたのは、他でもない主人公自身の名前。生年月日だけでなく、死亡した日付まで明確に刻まれていたのだ―。

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