本作は1966年、『ポーの末裔その他の断片』に収録された。
ラヴクラフトの作品の後日談が書かれている。
- 語り手
- アルバート・ウィルマース教授…文学科の学科主任
- フランシス・モーガン教授…医学と比較解剖学の教授、1928年にダニッチの怪を葬った3人のうちの1人
- ウィリアム・ダイアー教授…地質学者
- ナサニエル・ピースリイ教授…経済学と心理学の教授
- ウィンゲイト・ピースリイ教授…心理学者、ナサニエルの息子
- アバム教授…数学者
- ミス・ティルトン…ウィルマース教授の秘書
【舞台】
- アーカム
語り手は古い倉庫群の傍らを通り過ぎ、アーカム・ハウスに到着する。予約を確認し、荷物を預けた後、ミスカトニック大学へと向かう。大学の新しい本館とピックマン原子力研究所を目にした語り手は、キャンパスの片隅で行われている人種差別反対の学生デモを横目に見ながら、文学科の学科主任の部屋を訪ねる。
そこで彼を迎えたのは、70歳を超えているとは思えない容姿の銀髪の老人、アルバート・ウィルマース教授だった。教授は知的な雰囲気と独特の含み笑いをたたえながら、ある若い作家に関する論文の執筆について語る。その若い作家とは怪奇現象を記録した人物で、彼の作品が単なる幻想小説ではなく実体験に基づいていることを仄めかす。
ウィルマース教授は語り手を連れてキャンパスを案内しながら、エドワード・ダービイの体内に宿っていたアセナス(エフレイム・ウェイト)を射殺して「正当な殺人」の評決を受けた建築家ダニエル・アプトンや、南極探検で恐ろしい体験をした若いダンフォースについて語る。
ウィルマース教授は語り手を大学の教員談話室へと導く。そこには名誉教授たちが集っていた。数学のアバム教授、医学と比較解剖学のフランシス・モーガン教授、経済学と心理学のナサニエル・ピースリイ教授、その息子で心理学のウィンゲイト・ピースリイ教授、そして地質学のウィリアム・ダイアー教授だ。
彼らは語り手を歓迎し、コーヒーを勧めながら、一般人には信じがたい話題について当たり前のように語り合う。南極で発見された「古のものども」が人間的でむしろ味方であること、「冥王星人」の存在を秘密にしていること、そして「樽のような体と星形の頭をもった巨大な生物」が現代の人間よりも「人間」という名にふさわしいことなど、常識を超えた会話が交わされる。
語り手はこの知的で奇妙な会話の中、膝の上に置いた箱を強く意識し続けていた。この箱には何が入っているのか。そして、この学者たちが語る恐るべき秘密と、それはどう関係しているのか。