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風に乗りて歩むもの

風に乗りて歩むもの

The Thing That Walked on the Wind

オーガスト・ダーレス クト4
概要
登場人物
あらすじ

本作は1933年、「ストレンジ・テイルズ」の一月号に掲載された。オーガスト・ダーレスが1人で手がけた初のクトゥルフ神話作品で、カナダのマニトバ州を舞台に風の神格「イタカ」を描いている。この作品でダーレスは独自のクトゥルフ神話の道を歩み、アルジャーノン・ブラックウッドの「ウェンディゴ」からアイデアをわかせ、イタカは風を擬人化したユニークな神格として創造された。また、1941年に発表された「イタカ」で、その名前や設定が追加されている。

ダーレスの作品には、前作で導入された旧神/旧支配者の善悪対立や四大霊の要素に対する批判も存在する。これらの要素は、一部の批評者からは「コズミック・ホラーを理解していない改悪」と厳しく非難されることがあり、特に、億年の混沌生物を四大元素説に縛り付けたことが、ダーレス流神話の欠点と見なされている。

  • ジョン・ダルハウジ…北西騎馬警官隊隊長
  • ロバート・ノリス…警察官
  • ジャスミン医師
  • アリスン・ウェントワス
  • ジェイムズ・マクドナルド
  • イレスン・マシット…宿屋の娘
  • ピーター・ヘリック…1930年にスティル・ウォーターを調査した人
  • ズール族
  • カーウィル族
  • チョーチョー人

【舞台】

  • スティル・ウォーター村
  • 1930年に失踪事件 ナビサ・キャンプ
  • 1931年に発見

カナダの辺境に潜む、言葉にできない恐怖。上級警察官の筆による一通の報告書が、その全貌を明らかにしようとしていた。

物語の中心にいるのは、失踪した警官ロバート・ノリス。彼に課せられた任務は、カナダの広大な荒野で忽然と姿を消した一つの村の謎を解き明かすことだった。

ノリスの捜査が佳境に入ったある日、前年に行方不明となっていた三人の人物が、まるで天から降ってきたかのように突如として現れる。そのうちの一人は既に命を落としていたが、生存していた二人が語る証言は、さらなる謎を呼び起こすものだった。

彼らの口から明かされたのは、失踪した村人たちの驚愕の運命。その村には、太古の昔から崇拝されてきた邪悪な存在がいたのだ。この存在は、信者たちへの「不興」を示すために、彼らを何者かに誘拐させ、その目的も知れぬまま姿を消させていた。

この恐るべき証言を聞いたノリスは、さらなる真相究明に乗り出すが…。

報告書を記す上級警察官の冷静な筆致の向こうに、人知を超えた存在の影が垣間見える。カナダの大自然を舞台に、古の邪神と人間社会の境界線で起きた戦慄の事件。

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