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電気処刑機

電気処刑機

The Electric Exesutioner

クト8 新訳3 真1 ハワード・フィリップ・ラヴクラフト
概要
登場人物
あらすじ

この作品は8050語の短編小説で、1929年6月にアドルフ・デ・カストロのためにラヴクラフトが代作した。WT 1930年8月号に初出し、単行本初収録はCatsで、校訂版がHMに収録されている。

この作品はデ・カストロの『The Automatic Executor』を大幅に書き直したものだが、ラヴクラフトは登場人物の名前や基本的な展開を維持している。狂人のキャラクターは、ラヴクラフトが実際の列車旅行で遭遇したドイツ人から着想を得ている。

物語後半でラヴクラフトは自身のクトゥルフ神話の要素を巧妙に取り入れており、アステカ風に綴りを変えた神々の名を登場させている。これはアステカ文化の神話の一部としてこれらの存在を示唆する意図があったと考えられる。

ラヴクラフトはこの仕事で16ドルを受け取ったが、デ・カストロはWTから175ドルの稿料を得た。

  • 語り手…会計検査官
  • アーサー・フェルダン…副監督
  • マコーム社長
  • ジャクスン…監督

【舞台】

  • 1889年 メキシコ

メキシコ行きの列車、密室と化した仕切り客室。そこで無名の語り手が遭遇したのは、想像を絶する狂気の具現だった。

書類持ち逃げ犯フェルダンの追跡という単純な任務。しかし、運命は語り手を予期せぬ恐怖の渦中へと引きずり込む。

電車に乗り込んだ語り手の元にやってきたのは、胡散臭い怪しげな男だった。そして、その男が取り出したのは、フード状の電気処刑器具。その発明者を自称する狂人の眼光に、凶気が漂う。彼が求めるのは、「最初の実験台」。その役目を担わされようとしているのは、他でもない語り手自身。

腕力での対抗を断念した語り手。残された武器は知恵のみ。遺書を書くという口実、友人記者への売り込み話。しかし、それらは一時しのぎに過ぎない。

目的地メキシコ・シティまでの、文字通り死に物狂いの時間稼ぎ。

極限状況下における人間の機知と狂気の対決を鮮烈に描き出す。列車が目的地に到着するまでの一刻一刻が、語り手の運命を左右する。

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