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闇に潜む顎

闇に潜む顎

Usurp the Night

全集5 ロバート・E・ハワード
概要
登場人物
あらすじ

本作は1970年、『ウィアード・ブック』第3号に掲載された。
ロバート・アーヴィン・ハワード(1906-1936)は、「コナン」シリーズで知られるように、古代や中世を舞台にして戦闘と超自然要素を組み合わせた「剣と魔法」というジャンルを切り開いた先駆者として広く名声を得ている。

テキサス州クロスプレインズで生まれたハワードは、幼少期は体が弱かったが、後にボディビル、ボクシング、乗馬で体を鍛え上げ、成人するとまるで自身の創造した主人公コナンのような屈強な体格になった。15歳から物語を書き始め、ファンタジー、SF、西部劇、スポーツ、歴史小説、探偵物、東洋冒険物など200編を超える多彩な作品を生み出した。

ケルト文化に深い知識を持っていたハワードは、ラヴクラフトの『壁のなかの鼠』を読んで作中のゲール語の使用に興味を抱き、ラヴクラフトと手紙のやり取りを始めた。二人はすぐに意気投合し、彼らの間で交わされた歴史に関する議論は実に刺激的で魅力的なものだった。ハワードはクトゥルフ神話の発展にも大きく貢献している。

ハワード作品の人気爆発は1960年代後半に起きた。ランサー・ブックスから出版された「コナン」シリーズのペーパーバックが若い読者の心をつかみ、大ヒットとなったのだ。

一方、1950年代からハワードの書籍や原稿を熱心に収集し、一流のコレクターとなったグレン・ロードは、1960年代初頭にハワード遺産の著作権管理者となり、多数の未完成原稿や断片、いくつかの完成作品を発見した。出版社や小規模出版物は競ってこれらの原稿を求め、他の作家による補完や埋もれていた作品の掘り起こしが盛んに行われ、ハワード人気にさらに拍車をかけた。

  • マイケル・ストラング
  • マージョリー…婚約者
  • ボゾ…猫
  • ジョン・スターク…隣人
  • 怪物

静かな郊外の町で、マージョリーの飼い猫ボゾが夜の散歩から帰ってこなくなった。近頃この辺りでは猫の失踪事件が相次いでおり、心配したマージョリーの婚約者マイケル・ストラングは猫を探すために行動を開始した。

手がかりを求めて、マイケルは最近隣家に引っ越してきたジョン・スタークを訪ねることにした。訪問時、ちょうど帰宅したスタークは松葉杖をつく年配の男性だったが、その姿には不思議な威厳が漂っていた。

猫を知らないか尋ねたが、スタークは首を振った。「残念ながら見ていませんよ。ですが、よろしければ中へどうぞ。話でもしましょう」
当初は取っつきにくい印象だったスタークだが、意外にも会話の名手で気さくな人柄だった。一時間ほど談笑したマイケルは、マージョリーを待たせていることを思い出し、辞去することにした。家を出た後、マイケルはふと気づいた—スタークは個人的な話を一切していなかったのだ。そして会話中、二階からはネズミが走るような小さな音が断続的に聞こえていた。

結局、猫のボゾは見つからなかった。マイケルはマージョリーを慰めるため、新しくブルドッグを連れて帰り、改めて「ボゾ」という名前を付けた。

一週間後、再びスタークを訪れたマイケル。今度は二階から聞こえる足音が明らかに前回よりも大きくなっていた。
その後、町の状況は悪化の一途をたどる。猫だけでなく犬までもが次々と姿を消すようになった。ある日、マイケルがマージョリーに会うと、彼女は恐ろしい体験を語った。
「昨晩、ボゾが誰かに連れ去られそうになったの」
マージョリーは震える声で言った。
「犬の鳴き声で目が覚めて見に行ったら、何者かが逃げていくのが見えたわ」
翌日、近所で助けを求める叫び声が聞こえた。駆けつけたマイケルが見たのは、スタークに向かって激しく吠えるボゾの姿だった。謝罪のためにスタークの家に上がったとき、マイケルの耳に新たな音が届いた—二階からは明らかに重たい蹄の音が響いていたのだ。

そして一週間後、町を震撼させる恐ろしい事件が起きた。3歳の子供が忽然と姿を消したのだ。その背後に潜む恐怖と、スタークの二階に隠された秘密の関連性を、マイケルはまだ知る由もなかった。

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