本作は3,020語の短編小説で、1920年12月にウィニフレッド・ヴァージニア・ジャクスンとの共作として執筆された。”エリザベス・バークリイならびにルイス・テオバルド・ジュニア”の筆名で、United Co-operrativeの1921年4月号に初出し、後にBWSに収録された。校訂版はHMに収録されている。
この作品は散文詩『ナイアルラトホテップ』の直後に書かれ、その影響が見られる。ラヴクラフトは1920年5月の手紙で、ジャクスンの夢に基づく物語の構想を既に示唆していた。
物語には、語り手の体験が単なる夢や幻覚ではなく、遠い未来の世界の光景であることを示唆する要素が散りばめられている。例えば、ラドヤード・キップリングを「太古の作家」と捉える描写などがある。
作品の大部分はラヴクラフトによって書かれたと考えられ、ジャクスンの貢献は冒頭部の基となった夢の提供のみだったと推測される。
アルフレッド・ギャルピンはUnited Amateur 1921年11月号の「一般批評部」でこの作品を好意的に評価している。彼は作品の詩的な表現力と豊かな想像力を称賛しつつ、構成面において若干の弱点があることを指摘した。
- 語り手
阿片の過剰投与がもたらした、現実と幻想の境界を揺るがす旅。語り手の意識は、重力の束縛から解き放たれ、未知なる世界へと誘われる。
美しくも不可解な部屋。その下から響く単調な音の正体は、家の土台を蝕む巨大な波。現実世界の崩壊を象徴するかのように、語り手の立つ地は徐々に狭まっていく。
逃げ出した先に待っていたのは、砂の小道とヤシの木立。そして、天から舞い降りた眩いばかりの美しい幼児たち。
彼らは救済の天使か、それとも深淵へ誘う魔性の存在か。
阿片の作用が紡ぎ出す幻想世界。その中で語り手が直面する選択が、予測不能の結末へと導く—。