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玩具修理者

玩具修理者

概要
登場人物
あらすじ

『玩具修理者』は、小林泰三のデビュー作となった短編小説である。この作品は第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、著者の文学的才能が早くから認められたことを示している。同名の短編集『玩具修理者』の表題作として収録され、『酔歩する男』とともに小林の初期の文学スタイルを体現している。

本作は小説としての成功にとどまらず、映画化や舞台化もされており、異なる表現形式でも作品の魅力が伝えられている。

  • 語り手
  • 玩具修理者

静かな喫茶店で、ふたりの会話が続く。女性の目が遠くを見つめ、不思議な夢の話を始めた。

幼い頃の記憶。近所に住んでいた「玩具修理者」の存在が鮮明によみがえる。大人たちは誰も気づかない、子供だけの秘密の人物だった。

どんなおもちゃでも直してくれる玩具修理者。単純な人形から複雑なゲームソフトまで、壊れたものは何でも蘇らせた。親の叱責を恐れる子供たちは、こっそりとおもちゃを持ち込んでいた。

ある日の出来事。弟の道雄をおんぶして両親の使いに出かけた彼女は、死んだ猫を抱えた少女と出会う。少女は猫を踏み殺してしまい、親に怒られるのを避けるため、玩具修理者のもとへ向かうのだと語った。

その後、悲劇が起きる。歩道橋での転倒。彼女は弟の道雄を死なせてしまう。

最初は弟の死を隠そうと必死に考えるが、どの案も現実味がなかった。

そのとき、彼女の心に玩具修理者の姿が浮かぶ―。

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