本作は1932年、WTの二月号に掲載された。
ダーレスが23歳の時に制作された本作は、先行作『邪神の足音』に続く、友人スコラーとの共作。先行作では神話的なパターンはありつつも具体的な固有名詞が登場しなかったが、この作品では新たな固有名詞や邪神ロイガーとツァールが初めて紹介され、後のクトゥルフ神話で使用されることとなった。
この作品はダーレス神話の起点となるものである。ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』などで示された基本的な設定を借用しつつ、独自の改変を加えている。
ラヴクラフトは太古の地球においてクトゥルフや古代種族たちが覇権を争ったと描いていた。これに対しダーレスは、旧神がそれらの存在を封印したという新たな要素を付け加えた。
また、クライマックスでは旧神が邪神ロイガーとツァールを滅ぼす描写があるが、別の作品である『サンドウィン館の怪』でロイガーが再登場している。
- エリック・マーシュ…ホークスの愛弟子 探検家
- ジェフリィ・ホークス…探検家
- チョーチョー人
- フォ=ラン博士…3年前にチョーチョ−人に誘拐されていた
- フォ=ラン博士の弟
- エ=ポオ…チョーチョー人の首領
- ロイガー
- ツァール
- 星の戦士
【舞台】
- 30年前のビルマ スン高原
アメリカの探検隊が挑んだのは、中央アジアビルマの秘境。未知なる世界への冒険は、しかし、想像を絶する恐怖へと一変する。
突如として探検隊を襲ったのは、「チョー=チョー人」と呼ばれる矮躯の人外種族。その襲撃から唯一生き延びたエリック・マーシュは、伝説の廃都アラオザルにたどり着く。だが、そこで彼を待ち受けていたのは、チョー=チョー人による捕縛だった。
連れ去られた先で、エリックは驚愕の再会を果たす。既に死亡したはずのフォ=ラン博士が、そこに生きていたのだ。博士の口から明かされる衝撃の真実。彼もまた誘拐され、古の双子神を復活させる儀式に加担させられていたという。
絶体絶命の窮地に陥った二人は、奇跡的な脱出を図る。長老エ=ポオを巧みに騙し、アラオザルからの脱出に成功はした…。
しかし、それで全てが終わったわけではなかった…。