ラヴクラフトとダーレス合作の最初の作品である「暗黒の儀式」は、ほぼダーレスの手によるものであり、ダーレスが独自に創作したダーレス神話の一環。舞台はは1923〜1924年のダニッチの近郊。物語はHPLの妖術師とヨグ=ソトースの系譜に焦点を当て、異なる視点の3章から成る。作中の牧師の解説シーンが丸々と未発表のHPLの草稿である。
本作では、ダーレスが生み出した旧神の印が重要な役割を果たしている。特に五芒星形の石に刻まれた「炎」のマークは、以降の作品で標準的な設定となった。この旧神の印は、ラヴクラフトの草稿時点ですでに決定されており、ダーレスによる独自のアレンジではない。
本作に邪神オサダゴワが初めて登場するが、ラヴクラフトの草稿に既にオサダゴワが言及されていて、彼を創造したのもラヴクラフトだった。オサダゴワはツァトゥグァの息子とされているが、物語の進行によってその真偽が疑われる要素も取り入れられている。
- アンブローズ・デュワート…1章の主人公
- スティーブン・ベイツ…2章の主人公、デュワートの従兄弟
- セネカ・ラファム博士…3章の主人公、ミスカトニック大学の教授
- ウィンフィールド・フィリップス
- リチャード・ビリントン
- クアミス
- ラバン・ビリントン…アリヤの息子
- アリヤ・ビリントン…リチャードに取り憑かれてた人
- ウォード・フィリップス…ラヴクラフトをモチーフ
- ジョン・ドゥルーヴェン
- ビショップ夫人
- ジャイルズ夫人
- ジョン・ドゥルーヴェン
- レム・ウェイトリィ
- オサダゴワ
- ヨグ=ソトース
- ナイアルラトホテップ
- イタカ
- 外なる神の従者
- 狩り立てる恐怖
【舞台】
- 1923年 アーカム ビリントンの森
ニューイングランドの深い森に潜む、世代を超えた呪いの物語。
18世紀、リチャード・ビリントンが行った禁断の儀式は、時空を超えて悪夢の連鎖を生み出す。異形の子の誕生、焚刑の炎、そして消えゆく人々。19世紀初頭、リチャードの魂は子孫アリヤに憑依し、再び闇の力を呼び覚ます。だが、自らの運命に抗ったアリヤは、己を封印し、大西洋を越えて逃れる。
時は流れ、1921年。アリヤの血を引くアンブローズ・デュワートが、忌まわしき屋敷を相続する。好奇心に駆られた彼は、埃にまみれた古文書の中に、家族の暗い過去を発見する。ダニッチの町を訪れ、さらなる真実に迫るアンブローズ。しかし、彼の探求は、眠りし古の存在を目覚めさせてしまう。
不安に駆られたアンブローズは、従弟スティーブン・ベイツに救いを求める。だが、スティーブンを待っていたのは、想像を絶する恐怖だった。夜の静寂を破る不可解な詠唱、意味不明な寝言、そして石塔で行われる禁断の儀式。スティーブンの目の前で、ビリントン家の呪いが、その全貌を現し始める。
謎の人物クアミスの出現が、事態をさらに混沌へと陥れる。アンブローズとクアミスの企みにより、封印の石が外される。1924年4月、真相を告げようとするスティーブンの前に、底知れぬ闇が立ちはだかる。
最後の希望は、ラファム博士とウィンフィールド・フィリップスに託される。
幾世代にも渡って紡がれてきた呪いの糸。異界の存在との危険な契約。そして、決して開いてはならなかった扉。ビリントンの森に秘められた真実は、人類の理解をはるかに超えていた。