キャンベルは初稿をダーレスに報告し、当初はニューイングランドが舞台だったが、彼自身が変更しセヴァン・ヴァレーになった。描写にはクラーク・アシュトン・スミスの影響があり、昆虫族の年代記のアイディアはラヴクラフトの備忘録の221番目にある「宇宙から来た昆虫か何かが人間を襲って頭の中に入り込み、異界の出来事を追体験させる──人格の置換も発生するかも」から得たもの。しかしキャンベルは後に、昆虫の大きさを誤解していたことに気づき、正しく表現するため再挑戦して「森のいちばん暗いところ」を執筆した。
ラヴクラフトが「シャッガイ」の言葉を使ったが具体的な意味は不明で、キャンベルはこれを昆虫族の出身地と解釈。リン・カーターやジェイムズ・ウェイドなど他の作家もシャッガイを星の名前と見なし、クトゥルー神話のTRPG「デルタグリーン」ではシャッガイ星人が英国の諜報機関ピスケスに浸透する設定が追加されている。
クトゥルフ神話 TRPGの専門誌「Worlds of Cthulhu」の第六号には「Brood of the Beetle」というシナリオがあり、これは米国のバーモント山中にあるシャッガイ星人の巣窟を扱っている。シナリオではゴーツウッド以外にも彼らが拠点を築いていたことや、バーモントのコロニーには巨大な「女王」がいるとされている。
- ロナルド・シェイ
- 中年教師
- サム…年老いた地元民
- 卵形の化け物
- ザイクロトルの住人…顔を持たない円筒形の化け物
- ザイクロトルに住む植物の神様
- 天王星の住人
- ルログ…双頭の蝙蝠の神
- アザトース
【舞台】
- ゴーツウッド
自害を決意した作家ロナルド・シアの物語は、時を遡り、一人の読書家の中年教師との出会いから始まる。酔えば大言壮語し頑固になる性格から普段バーを避けていたシアだが、その日は教師の誘いに乗り、小説の種になるという奇妙な話に耳を傾けることになった。
教師が語ったのは「ゴーツウッド」という森の不可解な歴史だった。森の中心にある空き地は、かつて大地母神を祀る神殿だったという。1600年代に隕石が落下した後、その場所は魔女たちの集会所となり、彼女たちは神ではなく隕石そのものを崇拝していた。魔女たちの祈りに応えて、時に隕石から何かが現れることもあったという噂も。
時は流れ、賭けで森に入った若者が翌日、狂気に取り憑かれて帰還する事件が起きる。落ち着いた後の若者は「木のようで木ではないもの」に追跡されたと証言し、広場に立つ円錐塔から何かが現れたことを語った。その「何か」から生物の歴史を教えられたことが発狂の原因とも言われている。
さらに教師は、魔女たちが麻薬のような恩恵を求めてそこに集まったとも語り、旅人が鳥のような何かが飛んでいくのを目撃した話や、心臓麻痺で亡くなった老人の近くに巨体の痕跡があった話も伝えた。
何時間も話を聞いたシアはついに決意し、「明日そこに行く」と宣言して、翌日の昼、謎めいた森へと足を踏み入れる。
森の奥に待つのは、狂気か啓示か——そして「私」が体験した自害を決意させる出来事とは。