トップ > 作品一覧 > 小説 > 恐怖の鐘
恐怖の鐘

恐怖の鐘

Bell of Horror

クト13 ヘンリー・カットナー
概要
登場人物
あらすじ

本作は1939年、ストレンジ・テイルズの4月号に収録。

この作品は、クトゥルフ神話の一篇であり、『イオドの書』が初めて登場する物語である。舞台はカリフォルニアで、キリスト教とインディオの対立にクトゥルフ神話の要素が絡み合う展開が描かれている。

  • ロス…カリフォルニア歴史協会の秘書
  • アーサー・トッド…カリフォルニア歴史協会の会長
  • デントン…アーサーの助手
  • ホセ
  • サルト
  • ズ・チェ・クオン…別名ズシャコン

【舞台】

  • 1900年代 カリフォルニア

18世紀後半のカリフォルニア。未開の地に広がる緑の大地は、白人のキリスト教会と土着のインディオの対立の舞台となっていた。その緊張が頂点に達したとき、サン・ザヴィエル伝道本部が三つの鐘を鋳造する。だが、その鐘には恐るべき運命が待ち受けていた。

ムツネ族のシャーマンが放った呪いは、鐘の金属に深く刻み込まれた。白人たちが鐘を吊るし、その音色が大地に響き渡ったとき、地の底から邪悪な魔物が目覚める。災厄は瞬く間に広がり、生き残った者たちは恐怖に震えながら鐘を取り外し、洞窟の奥深くに埋めた。

宣教師セラ・フニペロは、故郷スペインへの帰還を切に願うも、その望みは叶わぬまま、この地に骨を埋めることとなる。真実を知らぬ者たちの間で、隠された鐘の伝説が語り継がれていく。

時は流れ、150年後。カリフォルニア歴史協会のトッド会長とデントンが、伝説の三つの鐘を発掘する。だが、彼らは知らなかった。その行為が、眠りについていた古の呪いを再び目覚めさせることを。

発掘現場に向かう秘書ロスは、峡谷で奇怪な光景を目にする。蟾蜍が自ら目を岩に押し付け、潰していく。その瞬間、ロスも錯覚に陥る。これが、後に起こる悲劇の前触れだった。

鐘を掘り出したトッドとデントンの目は充血し、激しい痛みに襲われる。作業員の一人は突如発狂し、自らの眼球をえぐり取って逃走。ロスと遭遇した直後、木に激突して息絶える。

さらなる犠牲者が出る中、鐘は回収され、その音色を響かせることが決定する。しかし、宣教師セラの残した文書には、魔物ズ・チェ・クォンと鐘の関係が記されていた。不安を感じたデントンは『イオドの書』で調査を進めるが、重要な部分が削除されており、真相は闇に包まれたままだった。

トッドが迷信と一蹴したその瞬間、鐘が鳴らされる。異常な冷気と地震が襲い、三人は恐怖の真実に直面する。

太古の呪い、目覚めし魔物、そして人間の好奇心が織りなす恐怖の物語。

カテゴリー一覧