本作は1931年、WTに収録されたクトゥルフ神話作品。ラヴクラフトの夢が基になっていて、原題の「恐怖の山」はローマ時代の夢に焦点を当てたもので、意訳邦題は「夜歩く石像」。
- アルジャナン・ハリス…美術館の管理責任者
- クラーク・アルマン…神の像を拾った人
- チュン・ガ…長老
- リチャードスン…過去に神の像に近づいた人
- ヘンリー・イムバート博士
- ジョージ・フランシス・スコラド博士…アルジャノンの上司
- ロジャー・リトル…霊能者
- チャウグナー・フォーン
- ミリ=ニグリ族
主人公のアルジャノンは、若くして美術館の責任者となるが、調査員が次々と奇妙な事件に巻き込まれていく。
ある日、クラーク調査員からの電話で、「神」を拾ったと伝えられる。クラークは、その像を調査することは許すが、最後には必ず破壊するようにとアルジャノンに警告する。過去にも、リチャードソンという人物が同じ像に近づいた結果、ひどい拷問を受けて帰還したことがあったのだ。
電話の後、使いの者が像を美術館に運んでくる。彼らによると、クラークの顔が変わっているという。像を観察してみると、象をモチーフにしているものの、扇のような耳から触手が伸び、鼻の先はラッパ状に広がるなど、奇妙な特徴を持っていた。
後にクラークが帰還し、その像が「チャウグナー・フォーン」と呼ばれることを明かす。クラークは、この像をアメリカに持ち帰るように指示され、いずれ世界はチャウグナー・フォーンに食い尽くされるだろうと予言される。
クラークが像に関わるまでの体験は壮絶なものだった。彼は最後に、神の使命を果たすために逃げられないよう呪いをかけられたのだという。当初、アルジャナンはクラークの話を信じていなかったが、クラークが顔を覆っていたスカーフを取ると、そこには像と同じ特徴を持つ顔があった。クラークの顔は変形し、大きな耳と伸びた鼻を持っていたのだ。
この像をきっかけに、美術館を中心に様々な不可解な事件が起こり始めるのであった。