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怪魔の森

怪魔の森

The Space-Eaters

フランク・ベルナップ・ロング 真1
概要
登場人物
あらすじ

本作は1928年、WT7月号に収録された。
アメリカの作家フランク・ベルナップ・ロング(1901-1994)によって書かれた短編小説である。
作品の冒頭には、ジョン・ディーによる英訳版『死霊秘法』からの引用が置かれている。この『死霊秘法』は、ロングの友人であるH・P・ラヴクラフトが創造した架空の書物であり、ロングがこれを自身の作品に取り入れた最初の事例とされる。
物語の主要登場人物の一人であるハワードは、容姿や思想などがラヴクラフトを彷彿とさせる怪奇作家として描かれている。ロングはこの作品でブラック・ユーモアの手法を用いており、ハワードのキャラクター造形にはラヴクラフトを戯画化したような要素が見られる。
ロングとラヴクラフトは親交が深く、ロングは500回以上もラヴクラフトと会ったと述べている。後にロングは、L・S・デ・キャンプによるラヴクラフト伝に触発され、「Howard Philips Lovecraft: Dreamer the Night side」を執筆。この中で、ラヴクラフトの素顔を伝え、読者を感激させた。
本作を読んだラヴクラフトは、「年寄りの扱いを知らぬ奴め」とロングに手紙を書き送ったというエピソードが知られている。

  • フランク
  • ハワード
  • ヘンリー・ウェルズ

【舞台】

  • パートリッジヴィル

主人公のフランクと友人のハワードは、霧に包まれた家で過ごしていた。作家のハワードは、自身の小説のインスピレーションを求めて没頭している。彼が表現しようとしているのは、人知を超えた外宇宙の存在だ。
物語は、もう一人の友人ヘンリーの登場によって動き出す。ヘンリーは、マリガンの森で不可解な体験をしたと告白する。馬に乗って森を通り抜けていた時、頭上から水滴が落ちてきたのだ。だが、それは単なる水ではなく、正体不明の生物だった。
木々の間からは、細長い白い何かが垂れ下がっているのが見えたという。その直後、ヘンリーは強い頭痛に襲われ、帰宅して頭を確認すると、そこには小さな穴が開いていた。医者は、その穴が銃弾によるものではないと断言し、ヘンリーの体験を信じようとはしなかった。
絶望したヘンリーは、友人に助けを求めるためフランクの家を訪れる。だが、話が終わった瞬間、ヘンリーの様子が一変する。彼は何かに取り憑かれたかのように、広大な空間を求めて外へと駆け出していったのだ。一体、ヘンリーの体に何が起こったのか。

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