『外から来た漁師たち』は、リン・カーターによるクトゥルフ神話短編小説であり、1988年に雑誌「Crypt of Cthulhu」で初めて発表された。その後、アンソロジー『The New Lovecraft Circle』や短編集『The Xothic Legend Cycle』に再録されている。後者では、物語に登場する旧支配者の名前がゴル=ゴロスからグロス=ゴルカに変更されているが、これはカーター自身が生前に意図していた修正だった。
本作は、タイトルにある「外から来た漁師たち」が実際に登場する初めての作品である。これらの存在は以前、ラヴクラフトの「The Outpost」や「Winged Death」、フランク・ベルナップ・ロングの『The Horror from the Hills』で言及されていたが、具体的な描写はなかった。しかし、カーターはこの物語で「外から来た漁師たち」をシャンタクの別名として扱っている。
一方、Chaosium社は、カーターの描写を基にしつつも、自社の怪物図鑑では「外から来た漁師たち」とシャンタクを別種の生物として扱うことを選択している。
この作品は、クトゥルフ神話の既存の要素を発展させつつ、新たな解釈を加えた点で注目に値する。カーターの創作アプローチが、神話世界の拡張と再解釈にいかに貢献したかを示す好例と言えるだろう。
- ハーロー・スローン
- メイヒュー…教授になった人
- スラウエンヴァイト…探検家
- ハロルド・ハドレー・コープランド…考古学者
- エドウィン・ウィンスロー・アーノルド…教授
- グロス=ゴルカ
- シャンタク
【舞台】
- 1946年頃
考古学者メイヒュー教授の20年に及ぶ執念の研究が、ついに実を結ぼうとしていた。彼が追い求めてきたのは、太古の昔に地球を植民地化し、ウガンダ中央部に巨石の前哨基地を築いた謎めいた「外界の漁師」と呼ばれる異星の生物だった。
禁断の書『ネクロノミコン』から、メイヒュー教授はこの「外界の漁師」が古の神の使徒であることを突き止める。その神はバル・サゴスの島で崇拝され、元々はゴル・ゴロス、後にグロス・ゴルカとして知られていた。
1946年、物語の語り手であるハーロウ・スローンは、メイヒュー教授の助手としてジンバブエの発掘現場に雇われる。そこで彼らは、怪物めいた鳥の形をした数々の偶像に混じって、「黒い石」を発見する。それは十二面体の形をした奇妙な物体で、不可解な刻文が施されており、中には奇怪な鳥のような生き物の姿も見られた。その夜、スローンは悪夢にうなされる。太古のジンバブエの光景が目に焼き付き、空から呼び寄せられた翼のある爬虫類のような生き物が、生贄として捧げられた人間をその鋭い嘴で引き裂く残虐な儀式を目撃してしまう。
メイヒュー教授は、「黒い石」の刻文が『ポナペ聖書』に似ていることに気づく。アメリカに戻った彼らは、更なる研究を重ね、太平洋とアフリカの両方で同じ神々が崇拝されていたことを突き止める。
ついに「黒い石」の刻文を解読したメイヒュー教授とスローンは、それが「外界の漁師」、別名シャンタクを召喚する儀式の手順であることを発見する。その2日後、メイヒュー教授は『エイボンの書』から注釈を写し取るため、スローンをケスター図書館へ派遣する。しかしこれはメイヒューの口実に過ぎなかった…。