
【2025年版】「墳墓に棲みつくもの 」入門|あらすじ・登場人物・おすすめ版まとめ
The Dweller in the Tomb
概要
本作とそれに並ぶ四つの作品はリン・カーターによって改稿されていて、本書が改稿版の初出となる。
リンは「イソグサ物語」執筆時に、本作を「窖の住人 The Inhabitant of the Crypt」と呼んでいたが、連作小説「超時間の恐怖」に組み込む際に「ザントゥー Zanthu」への変更を考えていた。しかし、最終的には1971年のアーカム・ハウスのアンソロジー “Dark Things” でのタイトルを維持することになった。
また、「ザントゥー Zanthu」のタイトルにおいて、ロバート・E・ハワードのコンラッドとキロワンものからの影響がある可能性が挙げられる。その一方で、これはラヴクラフトやウィアード・テールズ風の、ホラー小説の一般的なタイトル構造に従ったものであり、構文ルールに基づいた典型的な選択であるとも言われている。
登場人物
- ハロルド・ハドリー・コープランド教授:主人公
- 神官ザントゥー:ムー大陸の神イソグサの神官
- エリントン
- チャンポ=ヤア:雇われた現地人ガイドたちのリーダー
- ブレイン博士:サンボーン研究所の職員
舞台
- 1912年頃 ロシアあたり
あらすじ
1913年、考古学界の異端児コープランド教授は、「ポナペ経典」と「無名祭祀書」という秘伝の書に隠された暗号を解読。伝説の神官ザントゥーの墳墓の在処を突き止めたと確信し、中央アジアへの探検隊を組織する。
しかし、未踏の地への旅路は苛酷を極めた。疫病が隊員を蝕み、夜陰に紛れた野獣の襲撃で水源を失う。さらに、現地ガイドたちの離反が相次ぐ中、コープランドは禁忌とされるツァン高原の奥地へと足を踏み入れる。
発見への渇望に駆られた一行は、日々の感覚さえ失っていく。40日目を過ぎた頃、突如として彼らの前に幻視とも蜃気楼ともつかない古城が出現。
極寒と乾燥に肉体を蝕まれながらも、コープランドの執念は衰えを知らない。ザントゥーの足跡を追う確信のもと、彼は前進を続ける。雪原での一時の安堵も束の間、ミ=ゴの襲来により、最後の人的資源であるガイドたちをも喪失する。
孤独な探検家と化したコープランドの前に、巍然と聳え立つ無名の山脈。その頂に待ち受ける運命とは――。
邦訳版の比較ガイド おすすめの一冊はどれ?
現在入手可能な主要な邦訳版として、以下の収録版がある:
- 「真ク・リトル・リトル神話体系5」:ラヴクラフトと彼の文学サークル「クトゥルフ神話」の世界観を、多様な作家の視点から味わいたい人向け。
- 「クトゥルーの子供たち」:リン・カーターの作品に特化した短編集。
- 「The Xothic Legend Cycle」:英語の原文の表現で楽しみたい方におすすめ。

初読者には「真ク・リトル・リトル神話体系5」がおすすめっ。他の短編集よりも簡単に手に入るので、本作を読みたい人はこの短編集で良いと思いますっ。
購入ガイド&リンク集
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