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塵埃を踏み歩くもの

塵埃を踏み歩くもの

塵埃を踏み歩くもの The Treader of the Dust

クラーク・アシュトン・スミス
概要
登場人物
あらすじ

米国のホラー作家『クラーク・アシュトン・スミス』が著した短編怪奇小説。英語原題は『The Treader of the Dust』。クトゥルフ神話に関連する作品として、ウィアード・テールズ誌1935年8月号に掲載された。

東雅夫は『クトゥルフ神話事典』で本作を取り上げ、「独自の魔法書『カルナマゴスの遺言』と怪物クアキル・ウッタウスの不気味さが描かれている」と述べている。

物語には神格クァチル・ウタウスが登場するが、当初はクトゥルフ神話作品として意図されておらず、アヴェロワーニュやゾティークの世界観とも無関係の単独作品だった。しかし後にリン・カーターが、『カルナマゴスの遺言』という文書が『エイボンの書』とともに古代魔術師の墓から発見されたという設定を加え、クトゥルフ神話に組み込んだ。その後、この神と文書はTRPGにも採用されている。

ジョセフ・ペイン・ブレナンの小説『The Keeper of the Dust』には、カ=ラースという神が登場し、クァチル・ウタウスと類似点が多い。ブレナンは1952年にウィアード・テールズ誌でデビューし、この作品もアーカムハウスの単行本に収録されている。

  • ジョン・シバスチャン
  • 下男のティマーズ
  • クァチル・ウタウス

時の狭間に隠された禁断の知識。古代の魔術師たちが畏れ敬った神性、クアチル・ウタウス。その召喚法を、現代の魔術師カルナマゴスが一冊の書物に封じ込めた。だが、この行為が引き金となり、世界の歯車が狂い始める。

オカルト研究家ジョン・シバスチャンの周囲で、奇妙な現象が起こり始めた。彼の存在そのものが、時間を加速させるかのように、周囲の物が急速に老朽化し、崩壊していく。そして、その影響は彼自身にも及び始める。

鏡に映る自分の姿に戸惑うシバスチャン。急激に進行する老化に恐怖を覚え、わけもわからぬまま家を飛び出す。三日間の彷徨の末、全ては錯覚だったのではないかと自らに言い聞かせ、帰宅した彼を待っていたのは、さらなる異変だった。

長年仕えてくれた老使用人ティマーズの姿がない。静寂に包まれた屋敷に、不吉な予感が漂う。カルナマゴスが記した書物と、シバスチャンの身に起こる怪事象。この二つの出来事は、果たして無関係なのだろうか―。

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