侵入者

侵入者

The Invaders

ヘンリー・カットナー クト8 真3
概要
登場人物
あらすじ

本作は1939年、『ストレイジ・ストーリー』の2月号に掲載された(原題:The Invaders、別名「触手」)。
本作は、20世紀のカリフォルニア州と古代ムー大陸という2つの時代を舞台に展開する物語で、作者カットナーが創造した神格「ヴォルヴァドス」と、異次元からの侵入者との対峙を描いている。

ヴォルヴァドスは『The Eater of Souls』で初登場した存在だが、この作品は日本語未訳となっている。本作は、ラヴクラフトの『永劫より』の世界観を踏襲しており、1940年に発表された『墳丘の怪』とも世界観を共有している可能性がある。

作中に登場する「ナコト五芒星形」は、後の作品でナコト写本やイースの大いなる種族との関連性が明らかになる。

また、人類の進化を逆行して粘液状に変化していく描写は、C・A・スミスの『ウボ・サスラ』からの影響が指摘されている。

  • マイケル・ヘイワード…小説家
  • ジーン…ジャーナリスト
  • ビル・メイスン
  • 隠れたる世界の住人
  • ヴァルヴァドス

【舞台】

  • カリフォルニア州、サンタ・バーバラ

怪奇小説家として名を馳せるマイケル。彼の作品は、読者を不安に陥れる独特の雰囲気で知られていた。その描写は創作の域を超え、まるで実体験のような迫真性を持っていたのだ。

そんなある日、親友のビルとジーンのもとに届いた一通の電報。そこには、マイケルからの不穏な文章が書かれていた。サンタ・バーバラ北方にある彼の家を訪れた二人を待っていたのは、やつれきった親友の姿だった。

「途中、何か異常に気付かなかったか?」
マイケルの問いかけに、ビルは不吉なカラスを、ジーンはそれ以外の鳥の存在を告げる。その瞬間、マイケルの顔が青ざめた。

二人が作家特有の被害妄想だと疑い始めた矢先、窓の外に異様な光景が広がる。人の腕ほどの太さを持つ象牙色の蔓。その半透明な表面は生命の息吹きを感じさせ、先端の球根からは無数の繊毛が生えていた。

ジーンが恐る恐る触れたその瞬間、蔓は意思を持ったかのように蠢き、闇へと消え去る。直後、突風が吹き、轟音と共に玄関が開いた。

マイケルの小説は、創作ではなかった―。
何者かが、マイケルを追っている。

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