本作は1967年、Fantasticの8月号で刊行され、ラヴクラフトの『永劫より』のトヨグの話を再編したものである。
カーターは、スミスが創造したヴーアミ族と、ラヴクラフトが創造したノフケーが互いに毛むくじゃらである点を指摘し、両者が退化した亜人間や人類以前の存在であると述べている。
さらにノフケーの名前はH.G.ウェルズの『タイム・マシン』のモーロック族に由来していると考えられる。
- 祈祷師イェーモグ
- ノフ=ケー
【舞台】
- ハイパーボリア大陸
太古の時代、蛇人間の支配から解放されたヴーアミ族は、新たな運命の扉を開く。彼らは、ラーン=テゴス神を崇めるノフケー族が統治していたハイパーボリア極北地域に進出し、その地を我が物とする。この戦いで、ヴーアミ族は神秘的な力を秘めた『モーロックの巻物』を手に入れる。
しかし、栄光は長くは続かなかった。幾度となく繰り返されるノフケー族との抗争に疲弊したヴーアミ族は、やがて地底へと逃れざるを得なくなる。そこで彼らは、太祖ヴーアムの導きにより、新たな神ツァトゥグァへの信仰を深めていく。
その中で、野心に満ちた祈祷師イエーモグの物語が始まる。自らを最高のツァトゥグァ信徒と自負する彼は、大祭司の座を熱望するも、七度に渡り拒絶される。その屈辱が、彼の心に暗い炎を灯す。
復讐心に駆られたイエーモグは、驚くべき計画を立てる。ツァトゥグァの神殿に厳重に封印された『モーロックの巻物』を盗み出すのだ。彼は魔術を駆使して門番を眠らせ、神聖な場所へと忍び込む。巻物を手に入れた瞬間、さらなる冒涜的なアイデア が彼の脳裏をよぎる。敵対する神の儀式を、ツァトゥグァの聖域で執り行うという、想像を絶する冒涜。
イエーモグの野望が引き起こす衝撃の結末とは―。