英国のホラー作家ブライアン・ラムレイが著したクトゥルフ神話系小説だ。長編シリーズ『タイタス・クロウ・サーガ』全6部作の第2巻にあたる。1975年にDAW Booksから出版され、2008年に日本語訳が刊行された。
邪神クティーラと旧神クタニドが初登場している。
森瀬繚による解説では、本作に多くの欠点があることを認めつつも、素材の魅力を評価している。また、ラムレイの作家としての真価は後の『ネクロスコープ』で発揮されるとしている。さらに、ラムジー・キャンベル、リン・カーター、リチャード・L・ティアニーといった第二世代作家の設定を積極的に取り入れている点に注目している。
- タイタス・クロウ
- アンリー・ローランド・マリニー…クロウの盟友
- ウィンゲート・ピースリー…ウィルマース財団の統括
- アーサー・D・メイヤー…財団の副統括
- エリナ・クォイ…教母
- ティアニア…旧神を先祖にもつ女神
- フィリキウス・テトリクス…古代イギリスのローマ帝国元老、タイタス・テトリクスという息子がいる
- タイタス・テトリクス…故人
- ロリウス・ウルビクス…古代イギリスの哲学者
- T3RE…ロボットの科学者
- エシュ…ディチチ族の言語学者、鳥と人間のキメラのような容姿
- オスネス…エリシアのドラゴン
- ザ・ツリー…エリシアの神樹
- ハーリー・ウォーレン…掛け時計の元所有者、イアン=ホーから持ち帰る
- スワミ・チャンドラプトラ
- エミリー…女医
- クティーラ
- クトゥルフ
- イタカ…容姿説明あり
- ティンダロスの猟犬…蝙蝠タイプ
- イスの偉大なる種族…イスに勘違いされてタイタスも中に入ることになる
- ハスター…ハリ湖からタイタスを襲う
- ヨグ=ソトース…彼のいる空間に行ってしまい襲われる
- クタニド…エリシアに住む旧神、クトゥルフと瓜二つ
- シュブ=ニグラス
【舞台】
- 1969年 ロンドン ブロウン館の破壊から10年後
- 1979年 マリニーが川で発見
- 1980年 x計画を実行
『地を穿つ魔』の最後に、アンリとタイタスは突如として姿を消した―。
1969年、風の精イタカが織りなす荒々しい嵐の中、アンリとタイタスは時空の狭間へと誘われる。不可思議な時空往還機に身を委ねた二人だが、運命の糸は思わぬ方向へと紡がれていく。気を失っていたアンリが目を覚ますと、そこは10年後の世界。老いたピースリー教授の憂いに満ちた表情があった。
この10年、世界は激動の渦中にあった。深淵なる海底の秘密が暴かれ、クトーニアンとの壮絶な戦いが繰り広げられる中、クトゥルーの復活を予言する不吉な兆しが影を落とす。
退院したアンリの前に立ちはだかるのは、幻想か現実か、ブロウン館跡地に揺らめくタイタスの幻影。クォリー教母から、タイタスの帰還にはアンリが必要だと告げられ、霊的コンタクトを試みる。そして、雷鳴と共に若返ったタイタスと、神秘の大時計が帰還した。時空を駆ける冒険譚が、今まさに幕を開ける。
タイタスが語る時空旅行は、読者の想像力を掻き立てる驚異の連続だ。知性を宿した未来の甲虫たち、白亜紀の猛々しい恐竜たち、そして時空の狩人、ティンダロスの猟犬との死闘。異星に不時着した彼を救ったのは、慈悲深きロボット科学者T3RE。23年の歳月を経て、タイタスは不死鳥の如く蘇る。
物語は更なる高みへと昇華する。幻想郷エリシアでの邂逅、待ち焦がれたティアニアとの再会、そして旧神の王クタニドが明かす衝撃の真実とは。
人類の起源を問い、旧神の存在に迫り、未知なる世界の扉を開かれる―。