トップ > 作品一覧 > 小説 > セイレムの怪異
セイレムの怪異

セイレムの怪異

The Salem Horror

ヘンリー・カットナー クト7 真3
概要
登場人物
あらすじ

本作は1937年、WTの5月号に収録された。ヘンリー・カットナーはサンフランシスコで育ち、エージェントとして働いた経験を生かし、パルプ小説の作家として才能を発揮。彼は様々な作家のスタイルを取り入れ、『ウィアード・テールズ』に初めて採用された「墓地の鼠」はラヴクラフトの雰囲気に似ており、一時はラヴクラフトの代作ではないかと噂された。しかし、実際にはラヴクラフトとの文通が始まった後であり、交流期間は短かった。ただカットナーはセイラムに詳しくないため、ラヴクラフトが助言してくれている。

また、批評家のショーン・ラムジーは、アビゲイル・プリンと、魔導書『妖蛆の秘密』の作者ルードヴィヒ・プリンの血縁関係を言及している。

  • カーソン…小説家
  • マイケル・リー…オカルティスト
  • アビゲイル・プリン
  • ニョグタ

【舞台】

  • セイレム

みを浮かべたまま消えたという伝説が残る。

作家のカーソンが、アビゲイルの呪われた家を選んだのは皮肉にも創作のためだった。地元の人々が恐れて近づかないこの場所なら、誰にも邪魔されず執筆に没頭できると考えたのだ。

ある夜、一匹の鼠が彼の視界に現れた。通常なら忌避するはずの小さな生き物に、カーソンは奇妙な親近感を覚える。まるで導かれるように鼠を追って地下へ降りると地下室の扉が開いていた。

何もないはずの地下室の壁には秘密があった。その先で彼を待っていたのは、壁の奥に隠された秘密の円形の部屋。寒色系の石で精巧に描かれたモザイク模様には、彼の知らない図形や五芒星が規則正しく配置され、部屋の中心には謎めいた円盤がはめ込まれていた。

不思議なことに、この部屋にいると創作意欲が湧き上がる。カーソンは日に日にこの空間に引き寄せられ、やがて執筆の拠点をこの秘密の部屋へと移していった。

彼は気づいていなかった。彼の行動が、300年前のアビゲイルの儀式を完成させる最後のピースになっていることに。

カテゴリー一覧