本作は1937年、WTの4月号に掲載された。
- 語り手…教師
- ピアース医師
- アブソロム・ゲイツ
- サイモン・マグロア…かつての学生
- カーステアーズ医師
【舞台】
- 1933年
語り手は、自分の体験した出来事が真実なのか、夢なのか、あるいは精神の病なのか確信が持てないと告白する。しかし彼は、この世界には人知の及ばない恐ろしい真実が潜んでいると信じている。戦争や新たな発見が、私たちの想像を超えた不条理な現実の証拠を少しずつ明るみに出しているのだと。
神経を高ぶらせた語り手は、大学での教壇生活から離れ、ブリッジタウンの湖畔にあるケイン・ハウスという宿に静養のため滞在することにした。そこで彼は思いがけず、かつての学生サイモン・マグロアと再会する。
サイモン・マグロアは背が高く痩せた男で、左の肩甲骨の下に特異な腫瘍のような隆起を持っていた。この肉体的欠陥にもかかわらず、彼は並外れた知性の持ち主で、詩や随筆において病的なまでに鋭い才能を示していた。彼の作品『魔女が吊されて』はエズワース記念賞を受賞するほどだった。
語り手とサイモンは親交を深め、サイモンのアパートを訪れた語り手は、彼が隠秘学や妖術に深い関心を持っていることを知る。部屋には奇妙な絵画や粘土像、『墳墓の屍体嗜食』や『妖蛆の秘密』といった禁断の書物が並んでいた。
1933年の秋、サイモンは父親の死を理由に突然大学から姿を消した。そして今、ブリッジタウンで再会した彼は、かつての面影を失っていた。髪は乱れ、服装はだらしなく、老けこみ、血色も悪く、目には生気がなかった。彼は両親の死後この村に住み、執筆に没頭していると語る。
しかしサイモンが立ち去るとき、語り手は彼の背中の瘤が以前の二倍の大きさになっていることに気づき、恐ろしい予感に身を震わせた。その瘤はまるで生きているかのように、サイモンの服の下で微かに蠢いたように見えたのだ。