本作は26,700語の中編小説で、1930年の2月24日から9月26日にかけて執筆された。初出は1931年、WTの8月号、初収録はO、校訂版はDH、脚注版はCCに収録されている。
この物語では、異星人が人類を奴隷にしようとしている陰謀が描かれている。ウィルマース教授はエイクリイとの文通を通じてこれを知り、異星人による和解は実は人類の脅威を隠すための策略であることに気付くのだ。エイクリイから送られた最後の手紙が異星人のものなのか、もしくはニャルラトテップのものなのかは不明だが、偽物であることは間違いなく、彼が異星人によって置き換えられていたことは明らかだろう。物語にはラブクラフトの自伝的な要素が多く取り入れられており、バーモントの大洪水やラブクラフト自身の経験が物語の背景に影響を与えていて、エイクリイという名も、ラブクラフトが旅行に行った際に、実際に出会ったバート・G・エイクリイからとったものだと思われる。
この小説はファーンズワース・ライトによって受け入れられ、ラブクラフトは過去最高額の350ドルの報酬を受け取った。ライトは本作を二部作の続き物として掲載する予定だったが、1931年初めのWTの刊行スケジュールの変更により、最終的には1931年8月号に完全な形で発表された。
- アルバート・N・ウィルマース殿…ミスカトニック大学、文学講師、アマチュア研究者
- ヘンリー・ウェントワース・エイクリー…地元の名士一族
- ウォルター・ブラウン…エイクリーを探っている人
- デクスター教授…大学の教授
- スタンリー・アダムス…ひどく奇妙な声の男
- ジョージ・グッディナフ・エイクリー…エイクリーの息子
- ノイズ…顎髭を生やした白髪交じり
- ミ=ゴ
【舞台】
- 1927年、アーカム、バーモント州
1927年、バーモント州を襲った大洪水の後、奇妙な噂が広まった。動物とも人間とも判別がつかない死体が流れ着いたというのだ。この噂に対し、ミスカトニック大学の権威あるウィルマース教授は当初、一蹴していた。
しかし、教授の人生は一通の手紙によって大きく揺さぶられることになる。差出人は、バーモント在住のエイクリイという人物。その内容は、常識を覆す衝撃的なものだった。地球外知的生命体の存在、そして彼らによる金属の採掘活動。さらに驚くべきことに、人間の脳髄を利用した幻想的な宇宙旅行の実態まで綴られていたのだ。
懐疑的だったウィルマース教授も、エイクリイとの文通を重ねるうちに、その主張に真実味を感じ始める。しかし、状況は思わぬ方向へと展開していく。かつて異星人に命を狙われていたはずのエイクリイが、突如として彼らと和解したというのだ。
さらに不可解なことに、エイクリイの手紙の調子が一変する。まるで別人が書いているかのようだった。そんな中、エイクリイから突然の招待を受ける。これまでの手紙や証拠物を持参し、自宅を訪れてほしいというのだ。
不安と好奇心が入り混じる中、ウィルマース教授はエイクリイの家を訪れることを決意する。果たして、そこで彼を待ち受けているものとは? 人類の常識を覆す真実なのか、それとも想像を絶する恐怖なのか。教授の運命は、今まさに大きく動こうとしていた。