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【読了ガイド】『The Black Sutra』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『The Black Sutra』│収録作品・購入方法まで紹介

本書は、ウォルター・デブリルによる短編集で、281ページの充実したボリュームを持つ作品集である。

2006年にMythos Booksから刊行され、ロバート・プライスによる3ページの序文が付いている。1970年代初頭から2000年代まで約40年間にわたる作品を収録しており、クトゥルフ神話ではなくムランドス神話について扱った作品集である。

表題となっている「The Black Sutra」は作者が創造した魔導書で、宇宙に潜む狂気の神ニグリ・コラス(ヌギルコーラス)や地球の生命力の化身ともいえる豊饒の女神イドラについて記されている。アザトースと対になるヌギルコーラスの作品が含まれている点が特徴的である。

  • Introduction
  • “Prologue:Collector’s Item”
  • “From the Sea”
  • “Night Sounds”
  • Ngyr-Khorath
  • “In ‘Ygiroth”
  • “The History of the Great Race”
  • “Red-Litten Yoth”
  • “Blue-Litten K’n-yan”
  • “Homecoming”
  • “What Lurks Among the Dones”
  • “R’lyeh”
  • “Predator”
  • “The Lure of Leng”
  • Where Yidhra Walks
  • “Fragment from the Necronomicon”
  • “Perilous Legacy”
  • “Heart Attack”
  • “The Horror from Yith”
  • “A Movement in the Grass”
  • “The Oldest Dreamer”
  • “The Barret Horror”
  • He Who Comes at the Noontime
  • “The Feast”
  • “Control”
  • “That Which Devours”
  • “The Bookseller’s Second Wife”
  • “Solar Pons & the Cthulhu Mythos”
  • “Lament”
  • “How Nogoch Koos Met the Xtaaby”
  • “Natty”
  • “What Sort of Man”
  • “The Changeling”

出版社:Mythos Books

発売日:2006/9/30

ページ数:300ページ

価格:紙版:3733円(中古で価格変動有)

良い点

  • ウォルター・デブリルは世界構築のラヴクラフト的ゲームに無制限の豊かさでアプローチしている
  • 彼の物語は真の古き者らしい奇妙さの多層ケーキのような構成
  • 複雑な世界観で、古代末期のグノーシス派の司祭のような役割を果たしている
  • 巻頭の出版履歴リストが非常に有用で、こうしたコレクションのモデルとなるべき

気になった点

  • 不気味なものがじわじわと浸透する恐怖より、血と暴力に対する恐怖の方が印象が強い
  • 大部分の物語が模倣や使い古された神話の決まり文句のレベルを超えていない
  • 読み進めるのに苦労し、数ページずつしか読めない状況が続く
  • 内容の大部分が記憶に残らない

こんな人におすすめ

  • 筋金入りの神話ファン
  • ムランドス神話に興味がある人
  • ヌギルコーラスやイドラという神格について知りたい人

本書は、ウォルター・デブリルによる約40年間の創作活動を包括した作品集である。

ラヴクラフトらしい独自のアプローチと複雑な世界観により、神話の新たな地平を示した。その一方で、作品の質のばらつきと読みやすさの問題も抱えた、評価の分かれる一冊となっている。

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