
【読了ガイド】『Cthulhu’s Heirs』│収録作品・購入方法まで紹介
はじめに
本書は、現代クトゥルフ神話の短編集である。
22編の作品がすべて英語で収録されており、H.P.ラヴクラフトが創造した神話体系の拡張を試みた現代作家たちによるアンソロジーとなっている。
ラムジー・キャンベル、ロバート・M・プライス、ヒュー・B・ケイブなど様々な作家が参加し、かなりマイナーな作品がほとんどを占める。スコット・デイヴィッド・アニオロウスキーの「An Early Frost」はキーザが登場する作品として唯一の収録例である。
収録作品リスト
- “Introduction” (トーマス・M・K・ストラットマン)
- “Watch the Whiskers Sprout” (DF・Lenvis)
- “The Death Watch” (Hugb B.Cave)
- “The Eeturn of the White Ship:The Quest for Cathuria” (Artbur William Lloyd Breacb)
- “Kadath/The Vision and the Journey” (t.Winter-Damon)
- “The Franklyn Paragraphs” (Ramsey Campbell)
- “Behold,I Stand at the Door and Knock” (Robert M.Price)
- “1968 RPI” (Joe Murpby)
- ” Those of the Air” (Darrell Scbweitzer and Jason Van Hollander)
- “Mr.Skin” (Victor Mila’n)
- “Just Say No” (Gregory Nicoll)
- “The Scourge” (Cbarles M.Saplak)
- “Pickman’s Legacy” (Gordon Linzner)
- “Of Dark Things&Midnight Places” (David Niall Wilson)
- “The Likeness” (Dan Perez)
- “An Early Frost” (Scott David Aniolowski)
- “Scene : A Room” (Craig Antbony)
- “The Seven Cities of Gold” (Crispin Burnbam)
- “Shadows of Her Dreams” (Cary G.Osborne)
- “The Herald” (Daniel M.Burrello)
- “Typo” (Micbael D.Winkle)
- “Star Bright,Star Byte” (Marella Sands)
文庫版仕様の詳細
出版社:Chaosium
発売日:1994/2/1
ページ数:270ページ
価格:紙版:13072円(中古で価格変動有)
購入ガイド
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読者レビューまとめ
良い点
- 20年前に購入した現代クトゥルフ神話アンソロジーの初心者向けとして適切
- H.P.ラヴクラフトが創造した神話の跳躍台としての天才性を示している
- ロバート・M・プライスの「Behold, I Stand at the Door and Knock」は古典的ラヴクラフト感覚を持ちながら現代的で傑出している
- チャールズ・M・サプラクの「The Scourge」は過剰でなく上手く仕上がっており、模倣的でない優れたラヴクラフト風作品
- デイヴィッド・ナイアル・ウィルソンの「Of Dark Things And Midnight Planes」は古典的ラヴクラフト要素を新しい方法で巧妙に活用
- ヴィクター・ミランの「Mr. Skin」は出だしは遅いが非常に良い仕上がり
気になった点
- ケイオシアム社の「サイクル」シリーズの標準的問題を抱えている(不規則な作品品質と杜撰な編集)
- 誤字脱字が多く、編集の質に問題がある
- DF・ルイスの「Watch the Whiskers Sprout」は混乱した内容
- ダニエル・M・ブレロの「The Herald」は4ページしかないのにもっと長く感じられる駄作
- 作品品質が極端に不均等で、良い作品は素晴らしいが悪い作品は本当に良くない
- 詩や戯曲のような意味不明な内容がページの無駄遣い
こんな人におすすめ!
- 神話フィクション愛好家で、ラヴクラフト以外の作品も探求したい人
- 現代クトゥルフ神話アンソロジーの初心者 多少の編集問題があっても名作を見つけたい読者
- ラヴクラフトの影響を受けた現代作家の作品に興味がある人
まとめ
本書は、現代クトゴルフ神話作家たちによる意欲的な試みを集めたアンソロジーである。
編集の質や作品の不均等さという問題を抱えながらも、プライス、サプラク、ウィルソンらの優れた作品により、ラヴクラフトの創造した神話体系の現代的継承と発展を示す価値ある一冊となっている。