
【読了ガイド】『目次幽霊狩人カーナッキの事件簿』│収録作品・購入方法まで紹介
はじめに
本書は、ウィリアム・ホープ・ホジスンによる怪異探偵小説集である。
収録作品は「礼拝堂の怪」、「妖魔の通路」、「月桂樹の館」、「口笛の部屋」、「角屋敷の謎」、「霊馬の呪い」、「魔海の恐怖」、「稀書の真贋」、「異次元の豚」、「探偵の回想」の10編となっている。
主人公のカーナッキは怪異専門の探偵で、科学と魔術の双方の知識を駆使して依頼を解決し、自宅に帰還するたび友人たちを食事に招いて事件の顛末を語るという設定になっている。
ラヴクラフトが評価したことで後に、「異次元の豚」が後にクトゥルフ神話になる。
収録作品リスト
- 「礼拝堂の怪」
- 「妖魔の通路」
- 「月桂樹の館」
- 「口笛の部屋」
- 「角屋敷の謎」
- 「霊馬の呪い」
- 「魔海の恐怖」
- 「稀書の真贋」
- 「異次元の豚」
- 「探偵の回想」
文庫版仕様の詳細
出版社:東京創元社
発売日:2008/3/28
ページ数:352ページ
価格:紙版:1000円/電子版:900円
購入ガイド
- Amazon:「https://amzn.to/4nDErUd」
読者レビューまとめ
良い点
- 全部がオカルトではなく、人間の犯罪もあり未解決な話もあるなどバリエーションが豊富
- TRPGのシナリオとして見ると面白い可能性がある
- 怪異の描写の分かりにくさがラヴクラフトと近く、コズミックホラーのシェアワールドとしても楽しめる
- ラムレイの主人公のように気張っていないところがゲーム的で親しみやすい
- 科学と魔術の双方の知識を駆使する探偵という設定が魅力的
- 人を縊り殺す怪魔、肉眼で捉えられない霊馬、夢を通じて相手を狙う魔豚など多彩な怪異が登場
- 翻訳が秀逸で読みやすい
気になった点
- カーナッキは肉体的にはごく普通で、何を仕事にしているのかよく分からないうさんくさい人間
- 現場から逃走することもあり、情けない面もある
- トリックの一部が憶測混じりでイマイチはっきりしない場合がある
- 月刊ムーに載っていそうなうさんくさい体験談のようなテイスト
こんな人におすすめ!
- TRPGのシナリオ作成の参考を求める人
- ラヴクラフト的な怪異描写を楽しみたい人
- コズミックホラーのシェアワールドに興味がある人
- 完璧ではない現実的なキャラクターを好む人
- 科学と魔術を組み合わせた探偵ものに興味がある人
まとめ
本書は、現代の超人的な怪異退治屋とは異なる、現実的で人間臭い探偵による怪異譚集である。
完璧ではない主人公と多彩な事件設定により、ラヴクラフト神話の前身としての価値と、TRPGシナリオとしての実用性を兼ね備えた、独特の魅力を持つ一冊となっている。