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【読了ガイド】『ラヴクラフト全集1』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『ラヴクラフト全集1』│収録作品・購入方法まで紹介

全集1

本書は、H.P.ラヴクラフト作品のみを収録した全集の第1巻である。収録作品は「インスマウスの影」「壁のなかの鼠」「死体安置所にて」「闇に囁くもの」の4編となっている。

特に表題作「インスマウスの影」が収録されており、ラヴクラフト作品が読みにくいことで有名とされる一方で、古い文法を好む読者には楽しめる内容となっている。

  • インスマウスの影
    • 1927年冬、マサチューセッツ州の港町インスマスが、政府の秘密作戦により爆破され地図から消えた。
      夏に遡り、成人祝いの一人旅をしていたロバート・オルムステッドは、アーカム行きの汽車チケットが手に入らずバスで移動することになる。
      途中でインスマスという町に立ち寄る。かつて繁栄したこの港町は流行病で住民の半数を失い、今や呪われた町として忌み嫌われていた。
      住民たちは奇妙な容貌をしており、手足は大きいのに耳や鼻は未発達で、魚や蛙を連想させる姿だった。
      バスの故障により一夜を過ごすことになったロバートの運命は。
  • 壁のなかの鼠
    • 「殺人鬼の家系」として噂されるディラポア家に生まれた男は、故郷を離れ平穏な生活を送っていた。
      しかし妻の死と戦地での息子の死により、再び孤独となってしまう。性をデ・ラ・ポーアに戻した彼は、故郷イグザム小修道院へ帰還する。
      しかし夜になると飼い猫が異常興奮し、壁の向こうから鼠のような奇妙な音が聞こえ始める。
      調査の末、隠された祭壇の部屋を発見した彼は、親友ノリス大尉と共に一夜を過ごす。
      するとノリスは「鼠の音はもっと下から聞こえる」と気づく。
      デ・ラ・ポーア家の血筋に隠された恐るべき真実が明らかになる。
  • 「死体安置所にて」
  • 闇に囁くもの
    • 1927年バーモント州大洪水後、正体不明の死体が発見される。
      ミスカトニック大学のウィルマース教授は、地元住民エイクリイから地球外生命体の存在と金属採掘活動、人間の脳髄を使った宇宙旅行について記された手紙を受け取る。
      文通を続けるうち信じ始めるが、異星人と敵対していたはずのエイクリイが突如和解し、手紙の調子も別人のように変化する。
      招待を受けた教授がエイクリイ宅を訪れると、想像を絶する恐怖が待っていた。

出版社:東京創元社

発売日:1974/12/13

ページ数:317ページ

価格:紙版:770円/電子版:495円

良い点

  • 数十年ぶりの再読でも楽しく読める魅力がある
  • 特に「インスマウスの影」は舞台となる漁村の描写が印象的で、ストーリーも興味深い
  • 「闇に囁くもの」の主人公設定(マサチューセッツ州の大学教師で民俗学研究家)やストーリー展開は、TRPGシナリオ作成の参考になる
  • 古い文法が好きな読者には楽しめる内容で、読んでいるうちに慣れてくる
  • 都市伝説的な雰囲気で、おどろおどろしさよりも好奇心を駆り立てる魅力がある
  • 歴史的描写や風景描写が細かく、旅行記を読むような感覚も味わえる
  • 世界描写の細かさがクオリティの高さを示している

気になった点

  • 文法が古くて理解しにくく、日本語に翻訳されているのに文章が理解できない場合がある
  • 描写がまったく頭に入ってこない読者もいる
  • 会話部分が一切ないため、読むのに苦痛を強いられることがある
  • 軽い気持ちで買うと後悔する可能性が高い
  • 翻訳の問題か原文の問題かは不明だが、読みにくさは確実にある

こんな人におすすめ

  • TRPGに興味があり、特にシナリオ作成の参考にしたい人
  • 古い小説の文法が好きで、クトゥルフ神話の原点に触れたい人
  • 都市伝説的な謎に満ちた世界観を楽しめる人
  • 歴史的・風景描写を重視する読者

本書は、クトゥルフ神話の創始者ラヴクラフトの代表作を収録した重要な作品集である。

文体の古さや読みにくさという課題はあるものの、独特の世界観と詳細な描写により、現代のTRPGや怪奇小説に大きな影響を与えた原点的価値を持つ一冊となっている。

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