
【読了ガイド】『クトゥルー6』│収録作品・購入方法まで紹介
はじめに
『クトゥルー6』は、ラヴクラフトを敬愛し、彼の死後にクトゥルフ神話の布教に生涯を費やしたオーガスト・ダーレスによる特別な作品集。
収録されているのは、ラヴクラフトの遺稿や創作メモを核として執筆された、いわば「公式二次創作」とも呼べる2本の短編と1本の中編。
特に「暗黒の儀式」は三章構成の本格的な中編作品として、また、大瀧啓裕氏による「クトゥルー神話ー禁断の考証学ー」も本書籍でのみ読める独占収録となっている。
収録作品リスト
- 「恐怖の巣食う橋」(オーガスト・ダーレス&ラヴクラフト)
- 「生きながらえるもの」(オーガスト・ダーレス&ラヴクラフト)
- 「暗黒の儀式」 (オーガスト・ダーレス&ラヴクラフト)
・第一章 ビリントンの森
・第二章 スティーブン・ベイツの手記
・第三章 ウィンフィールド・フィリップスの物語 - 「クトゥルー神話ー禁断の考証学ー」 大瀧啓裕
文庫版仕様の詳細
出版社:青心社
発売日:1989/8/1
ページ数:332ページ
価格:紙版:814円/電子版:660円
購入ガイド
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読者レビューまとめ
良い点
- 「暗黒の儀式」は良く練られたプロットで、視点と役割を効果的に分けた構成が秀逸
- 「恐怖の巣食う橋」はダニッチの事件の後日譚として興味深く、東西の「橋」の概念の共通点が興味深い
- ヨグ=ソトースの圧巻の描写が印象的で、旧支配者の設定が詳細に描かれている
- セネカ・ラファム博士とウィンフィールド・フィリップス助手の後日譚への期待が高まる
- 日本と西洋のファンタジーにおける「橋」の共通概念(「こちら側」と「あちら側」の中間地帯)が興味深い
- ラヴクラフトの原案を基にした「素晴らしき二次創作」として価値がある
- 大瀧啓裕氏の考証学で神話体系の理解が深まる
気になった点
- 全作品がダーレス作のため、作家の多様性に欠ける
- 一部読者には印象に残る要素がヨグ=ソトースの描写程度に感じられる場合がある
- ダーレスの文体や作風が合わない読者には向かない可能性
- 原作ラヴクラフトと比較して物足りなさを感じる読者もいる
こんな人におすすめ!
- ダニッチの事件の後日譚に興味がある人
- ミスカトニック大学付属図書館の設定を詳しく知りたい人
- ラヴクラフトの遺稿を基にした作品に興味がある人
- ヨグ=ソトースの詳細な設定や描写を読みたい人
まとめ
本巻はラヴクラフトの遺稿や創作メモを基にしたダーレスによる「公式二次創作」として、独特の価値を持つ作品集となっている。特に「暗黒の儀式」は三章構成の本格的な中編として、ミスカトニック大学の世界観を深く掘り下げており、神話ファンには見逃せない内容だ。
全作品がダーレス単独のため、作家の多様性を求める読者には物足りない面もある。大瀧啓裕氏の「禁断の考証学」と合わせて、クトゥルー神話の設定資料としての価値も高い一冊といえるだろう。