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【読了ガイド】『クトゥルー12』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『クトゥルー12』│収録作品・購入方法まで紹介

クト12

『クトゥルー-12』は、D・R・スミス、C・A・スミス、ラヴクラフト、オーガスト・ダーレス、ロバート・ブロックなど多彩な作家による8編を収録した短編集。

本巻の特徴として、ツァトゥグアという邪神の初登場作品と、作家間でのこの邪神の共有・発展過程を知ることができる点が挙げられる。

また、本巻は他の多くの巻とは異なり、大瀧啓裕氏による補遺的な解説は含まれていない構成となっている。

  • 「アルハザードの発狂」 D・R・スミス
  • サタムプラ・ゼイロスの物語」 C・A・スミス
  • ヒュプノス」 H・P・ラヴクラフト
    • 鉄道駅で偶然出会った彫刻家の語り手と、古代ギリシアのファウヌス像のような端正な顔立ちの謎の男性。二人は唯一無二の友となり、物質や時空を超越した夢の中でしか垣間見ることのできない広大な宇宙の「研究」に没頭する。
      薬物によって増幅された夢のヴィジョンは想像を絶する興奮をもたらすが、ある日突然、友は凄まじい恐怖に直面する。
      もはや眠ることすら恐れ、覚醒し続けようともがく姿は痛ましくも不気味だった。
      ケント州の古い荘園から若者たちの集う賑やかな場所へ生活は一変するが、友の恐怖は消えない。人知を超えた領域への探求がもたらす代償とは。
  • 「イタカ」 オーガスト・ダーレス
  • 「首切り入り江の恐怖」 ロバート・ブロック
  • 「湖底の恐怖」 ダーレス&スコラー
  • 「モスケンの大渦巻」 ダーレス&スコラー
  • 墳丘の怪」 ゼリア・ビショップ

出版社:青心社

発売日:2002/8/1

ページ数:324ページ

価格:紙版:4500円(中古で価格変動有)/電子版:660円

良い点

  • C・A・スミスの「サタムプラ・ゼイロスの物語」では人気の邪神ツァトゥグアが初登場し、ラヴクラフトが気に入って自作に登用するほどの魅力的な造形
  • 作家間の”繋がり”を知ることができ、ツァトゥグアが『闇に囁くもの』や『墳丘の怪』にも登場する関連性が楽しめる
  • 「墳丘の怪」は邪神の姿こそ出ないが、SFホラー・サスペンスとして非常にクオリティが高く、地底世界クン・ヤンの探訪記として印象的
  • ロバート・ブロックの「首切り入り江の恐怖」はこじんまりしているように見えて終盤予想外の展開になる手練の作品
  • 「アルハザードの発狂」はわけがわからないうちにニヤリとさせられる悪魔的な小品として印象的
  • ラヴクラフトの「ヒュプノス」が収録されている

気になった点

  • 落ち穂拾い的な感じになってきており、大傑作と遭遇する可能性はほとんどない
  • ダーレスの作品の一つはいつも通りのガッカリ短編として評価が低い
  • 「墳丘の怪」はもう少し展開にキレがあれば定番作品の一つに数えられたかもしれない程度の出来
  • 手垢がつきまくっているタイプのストーリー

こんな人におすすめ

  • ツァトゥグアに興味があり、その初登場作品を読みたい人
  • 作家間の繋がりや神話の発展過程に興味がある人
  • C・A・スミスやロバート・ブロックの作品を読みたい人
  • SFホラー・サスペンス要素の強い作品を求める人
  • 地底世界の描写を楽しみたい人

本巻は、ツァトゥグアの初登場作品を軸とした作家間の繋がりを理解できる短編集として構成されている。

C・A・スミスによる邪神の造形がラヴクラフトに影響を与え、さらに他の作品にも波及していく過程を辿ることができる貴重な資料的価値を持つ。

「墳丘の怪」のような高いクオリティのSFホラー作品も含まれており、クトゥルー神話ファンにとって基本図書としての位置を占めている。シリーズが巻数を重ねる中で、安定した読み応えを提供する一冊といえる。

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