
【読了ガイド】『クトゥルー1』│収録作品・購入方法まで紹介
はじめに
本作は、クトゥルフ神話の世界への理想的な1冊。収録作品の筆頭を飾る「クトゥルーの呼び声」は、クトゥルフ神話体系を理解するための必読作品。太平洋の彼方に眠る古き神の恐怖を描いた、ラヴクラフトの代表作中の代表作がここから始まる。
収録作品リスト
- 「クトゥルーの呼び声」 H.P.ラヴクラフト
- 「破風の窓」 ラヴクラフト&ダーレス
- 「アロンゾ・タイパーの日記」 ウィリアム・ラムリー
- 「ハスターの帰還」 オーガスト・ダーレス
- 「無人の家で発見された手記」 ロバート・ブロック
- 「博物館の恐怖」 ヘイゼル・ヒールド
- 「ルルイエの印」 オーガスト・ダーレス
- 「クトゥルー神話の神々」 リン・カーター
- 「クトゥルー神話ー遠近法の美学」 大瀧啓裕
文庫版仕様の詳細
出版社:青心社
発売日:1988/12/1
ページ数:338ページ
価格:紙版:814円/電子版:660円
購入ガイド
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読者レビューまとめ
良い点
- 『破風の窓』などラヴクラフト/ダーレスの傑作が収録されており、ラヴクラフトらしい恐怖の雰囲気と世界観が見事に表現されている
- ラヴクラフト以外の様々な作家の作品も読める多様性がある
- クトゥルー神話の体系的な作品集として、オリジナル作家から後続作家まで幅広くカバーしている
- 大瀧啓裕による翻訳は名訳との評価もある
- 読みにくさが逆に不気味さを倍増させる効果を生んでいる
- 国書刊行会の『ク・リトル・リトル神話体系』などと合わせ読みすることでコズミックな感覚を理解できる
気になった点
- 翻訳が読みにくく、日本語として最低限のセオリーが成立していない部分がある
- 内容や雰囲気が似通ってしまい、作品間の区別がつきにくい
- ラヴクラフト本人以外の「二次創作物」的な作品による水増し感がある
- アマチュア作品レベルのものまで含まれており、読む価値に疑問符がつく作品もある
こんな人におすすめ!
- ラヴクラフトの世界観や恐怖の雰囲気を味わいたい人
- クトゥルー神話を体系的に学びたい人
- 多少読みにくくても雰囲気重視で楽しめる人
- ラヴクラフト以外の関連作家の作品にも興味がある人
- 翻訳の質よりも作品の網羅性を重視する人
- 他のクトゥルー神話関連書籍と比較検討してから購入を決めたい人
まとめ
ラヴクラフト以外にも、ダーレス、ラムレイ、ブロックといった神話作家たちの傑作が勢揃い。それぞれ異なる文体と恐怖のアプローチで、クトゥルフ神話の豊かな多様性を実感できる。読み進めるうちに、きっと好みの作家に出会えるだろう。「破風の窓」は映画化もされているほどの名作で、ラヴクラフト&ダーレスのコラボレーションも見逃せない。
特に注目すべきは、リン・カーターの「クトゥルー神話の神々」と大瀧啓裕氏の「遠近法の美学」。これらの解説・評論は他の短編集には収録されておらず、神話体系の理解を深める貴重な資料となっている。作品を読んだ後にこれらを読み返すことで、クトゥルフ神話の奥深さがより鮮明に見えてくる。