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【読了ガイド】『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』│収録作品・購入方法まで紹介

本書は、クラーク・アシュトン・スミスによるアヴェロワーニュ短編集である。

アヴェロワーニュ年代記として12編の本編と、附録として6編のクトゥルー神話関連作品を含む計18編を収録している。

特に「塵埃を踏み歩くもの」には人気の邪神クァチル・ウタウスが登場する。

  • アヴェロワーニュ年代記
  • 「アヴェロワーニュ」
  • 「怪物像をつくる者」
  • 「アゼダラクの聖性」
  • 「イルゥルニュ城の巨像」
  • 「アヴェロワーニュの媾曳」
  • 「アヴェロワーニュの獣」
  • 「マンドラゴラ」
  • 「ウェヌスの発掘」
  • 「サテュロス」
  • 「シレールの魔女」
  • 「物語の結末」
  • 「蟾蜍のおばさん」降霊術綺譚
  • 「アフォーゴモンの鎖」
  • 「魔力のある物語」
  • 妖術師の帰還
    • オークランド郊外でアラビア語を学んでいたオグデンは、偶然ジョン・カーンビイの求人広告を見つける。
      霧に覆われた屋敷で出会ったカーンビイは不健康な男性で、オグデンを助手として採用し一緒に住むことを提案する。
      仕事部屋には骸骨や剥製が並び、カーンビイは禁断の書物「ネクロノミコン」のアラビア語版の翻訳を依頼する。
      死者に命を吹き込む呪文を翻訳するオグデンの耳に、廊下から這うような不吉な音が聞こえ始める。
      ある夜、部屋のドアが開いた瞬間、オグデンが目にしたのは切断された手が転がる恐怖の光景だった。
  • 「分裂症の造物主」
  • 「彼方から狩り立てるもの」
  • 塵埃を踏み歩くもの
    • 古代の魔術師たちが畏れ敬った神性クアチル・ウタウスの召喚法を、現代の魔術師カルナマゴスが一冊の書物に封じ込めた。
      この行為が引き金となり世界の歯車が狂い始める。
      オカルト研究家ジョン・シバスチャンの周囲で奇妙な現象が起こり、彼の存在が時間を加速させるかのように、周囲の物が急速に老朽化し崩壊していく。
      鏡に映る自分の急激な老化に恐怖を覚え家を飛び出すが、三日後に帰宅した彼を待っていたのは、長年仕えた老使用人ティマーズの失踪だった。
      カルナマゴスの書物とシバスチャンの怪事象の関係とは。

出版社:東京創元社

発売日:2011/12/21

ページ数:424ページ

価格:紙版:1320円

良い点

  • ゾティークもの、ヒュペルボレオスものの陰に隠れがちなアヴェロワーニュものを全て収録した貴重な短編集
  • グロテスクながらも詩的な描写と、欲望と愛欲こそが人を生き生きとさせる表現が秀逸
  • 必ずしもヒロイックな結末を迎えない、スミス流のユーモアが効いた物語
  • 日本発ファンタジーに慣れ親しんでいる人には比較的受け入れやすい設定
  • 実際の出来事や実在の人物と絡めることができる時代設定
  • クトゥルフ神話×ファンタジーの創作やシナリオ作成の良き参考書

気になった点

  • 訳者の文章の巧みさを楽しめなかったという感想もある
  • 一冊丸々アヴェロワーニュだと思っていたら、後半はその他の短編集だった
  • 原書を損ないかねない翻訳という厳しい評価もある

こんな人におすすめ

  • クラーク・アシュトン・スミスのアヴェロワーニュものが好きな人
  • 中世フランスをモデルとした異世界ファンタジーに興味がある人
  • クトゥルフ神話×ファンタジーの創作を考えている人
  • 『クトゥルフ・ダークエイジ』と合わせて参考書として活用したい人

本書は、スミスの三大シリーズの中でも独特の御伽噺風雰囲気を持つアヴェロワーニュ作品の決定版である。

翻訳の評価については賛否が分かれるものの、中世ファンタジーとクトゥルフ神話の融合という貴重な要素により、創作の参考書としても価値の高い一冊となっている。