
【読了ガイド】『The Xothic Legend Cycle』│収録作品・購入方法まで紹介
目次
はじめに
本書は、リン・カーターによるクトゥルフ神話短編集である。全16編がすべて英語で収録されており、各短編には解説が付いている。
主にカーターの作品で構成され、ゾス三神の原作も多数収録されている。「外から来た漁師」の収録は珍しく、カーター&プライス、カーター&ラヴクラフトの共作も含まれる。
収録作品リスト
- Introduction (ロバート・M・プライス)
- The Red Offering (リン・カーター)
- The Dweller in the Tomb (リン・カーター)
- The Thing in the Pit (リン・カーター)
- Out of the Ages (リン・カーター)
- The Horrer in the Gallery (リン・カーター)
- The Winfield Heritance (リン・カーター)
- Perchance to Dream (リン・カーター)
- Strange Manuscript Found in the Vermont Woods (リン・カーター)
- Dreams from R’lyeh (リン・カーター)
- Something in the Moonlight (リン・カーター)
- The Fishers from Outside (リン・カーター)
- Behind the Mask (リン・カーター)
- The Strange Doom of Enos Herker (リン・カーター&ロバート・M・プライス)
- The Bell in the Tower (リン・カーター&ラヴクラフト)
- The Soul of the Devil-Bought (ロバート・M・プライス)
文庫版仕様の詳細
出版社:Chaosium
発売日:1997/2/1
ページ数:271ページ
価格:紙版:23100円(中古で価格変動有)
購入ガイド
- Amazon:「https://amzn.to/46tI8EZ」
読者レビューまとめ ※翻訳に間違いがある可能性があります。
良い点
- カーターは真のラヴクラフト愛好家で、ゾシック・サイクルは彼の剣と魔法作品よりも優れている
- 神話作家としてのカーターの文章は非常に良質で、ブライアン・ラムレイのような単なる暴力や女性蔑視ではない
- 現実的で神話に調和したサスペンスフルな物語を創造している
- 利用可能な神話の知識体系を適切に活用している
- 各短編に解説が付いている
- スリルを求める読者には楽しめる内容
気になった点
- カーターが神話知識全体を百科事典化しようとして、自分の物語にしようとする際に問題が生じる
- 「ギャラリーの恐怖」でダーレスの善良な旧神という概念を拡張し、キリスト教的な善悪二元論を導入している
- ラヴクラフトが意図しなかった宇宙的恐怖を減少させる「慈悲深い救世主」的な旧神描写
- 「外から来た漁師」では、簡単に倒される程度のグロス=ゴルカを、旧支配者として崇拝させる不自然さ
- ダーレスが確立した陳腐化や常套手段に従っている
- 収録された短編の多くが非常に似通っている
- ラヴクラフト伝統から大きく逸脱した独自の歪んだ物語になっている
こんな人におすすめ!
- 過小評価されている作家への素晴らしいオマージュを求める人
- ラヴクラフト神話の様々な作家による解釈に興味がある人
- 英語でクトゥルフ神話作品を読みたい人
- 読み物としてのスリルを求める人
- 神話作家としてのカーターの位置づけを理解したい人
まとめ
本書は、リン・カーターによるクトゥルフ神話作品の完全版として、神話愛好家には貴重な一冊である。良質な文章とサスペンス構築能力を持ちながらも、ラヴクラフトの原初的な宇宙的恐怖から逸脱し、賛否が分かれる作品集となっている。