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【読了ガイド】『クトゥルー10』│収録作品・購入方法まで紹介

【読了ガイド】『クトゥルー10』│収録作品・購入方法まで紹介

クト10

『クトゥルー-10』は、現界と異界を繋ぐ様々なアイテムをテーマとした7編を収録した短編集。

本巻の特徴は、宝石、ランプ、鍵、ガラスなど、神話世界における重要な媒介アイテムが多数登場することで、これらのアイテムを通じて異界への窓口が開かれる物語群が収められている。

また、ラヴクラフトの長編「チャールズ・デクスター・ウォード事件」が収録されており、これは漫画化もされた人気作品として知られている。

なお、本巻は他の巻とは異なり、大瀧啓裕氏による補遺的な解説は付属していない。

  • 「ファルコン岬の漁師」 ラヴクラフト&ダーレス
  • 「妖術師の宝石」 ロバート・ブロック
  • 「クラ―リッツの秘密」 ヘンリー・カットナー
  • 「クトゥルーの眷属」 ロバート・シルヴァーバーグ
  • 「グラーグのマント」 フレデリック・ポール、H・ドクワイラー、R・A・W・ロウンデス
  • 「アルハザードのランプ」 ラヴクラフト&ダーレス
  • チャールズ・デクスター・ウォード事件」 H・P・ラヴクラフト
    • 1692年、謎の魔術師ジョウゼフ・カーウィンがプロヴィデンスに移住。
      半世紀経っても容姿が変わらず、死者蘇生の研究に没頭していたが、強引な結婚が原因で殺害される。
      1918年、若きチャールズ・デクスター・ウォードは自宅の肖像画で自分と瓜二つのカーウィンを発見し、先祖との繋がりに衝撃を受ける。
      カーウィンの魔術を蘇らせようと狂気じみた研究に没頭するが、ある日を境に性格が一変。禁断の知識が古の邪神を目覚めさせ始める。

出版社:青心社

発売日:1997/11/1

ページ数:322ページ

価格:紙版:2261円(中古で価格変動有)/電子版:660円

良い点

  • 現界と異界を繋ぐ多様なアイテム(宝石、ランプ、鍵など)をテーマとした興味深い作品群
  • ラヴクラフトの「チャールズ・デクスター・ウォード事件」は巨大モンスターが登場しないにもかかわらずクトゥルーらしさが存分に漂う名作
  • ロバート・シルヴァーバーグの「クトゥルーの眷属」はコメディ要素があり面白く、「馬鹿が馬鹿なことやって死ぬ」展開が印象的
  • 異界への窓口となるアイテムという現代にも通じるテーマ性
  • 使用者の多くは不幸な結末を迎えるが、中には比較的幸福な結末もあるバリエーション

気になった点

  • 「クトゥルーの眷属」はタイトルがおかしく、ヨグ=ソトースがクトゥルフのような形状で登場する設定に疑問
  • 本の半分程度はサクサク読めるが、最後の部分が辛く感じられる場合がある
  • 全集で既読の場合、重複感がある
  • 大瀧啓裕氏の補遺がないため、他巻と比べて解説的要素が不足

こんな人におすすめ

  • 現界と異界を繋ぐアイテムをテーマとした作品に興味がある人
  • ラヴクラフトの長編作品を読みたい人
  • 「チャールズ・デクスター・ウォード事件」の原作を読みたい人
  • ロバート・シルヴァーバーグのクトゥルー神話作品に興味がある人
  • コメディ要素のあるクトゥルー作品を求める人
  • 現代的なテーマ性(パソコンやスマートフォンとの類比)に興味がある人

本巻は、「チャールズ・デクスター・ウォード事件」という重要な長編作品を含む短編集として構成されている。

マイナーな作品群が中心でありながら、現界と異界を繋ぐアイテムという一貫したテーマ性を持つ。

大瀧啓裕氏の補遺がない点で他巻と異なる構成となっているが、クトゥルー神話の多様な展開を示す一冊として位置づけられる。

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