
【読了ガイド】『クトゥルーの子供たち』│収録作品・購入方法まで紹介
はじめに
本書は、リン・カーターによるクトゥルフ神話作品集である。
収録作品は「赤の供物」、「墳墓に棲みつくもの」、「奈落の底のもの」、「時代より」、「陳列室の恐怖」、「ウィンフィールドの遺産」、「夢でたまたま」の7編(すべてリン・カーター作)と、ロバート・M・プライスによる「悪魔と結びし者の魂」1編の計8編となっている。
ゾス三神の作品が多く収録されており、カーターが体系化したゾス神話群に連なる物語をまとめた連作集である。約500ページのボリュームで、「クトゥルー神話の大統合者」「ふたつの神話の碩学」などの解説、年表、索引、関連世界地図なども収録されている。
収録作品リスト
- 「赤の供物」(リン・カーター)
- 「墳墓に棲みつくもの」(リン・カーター)
- 「奈落の底のもの」(リン・カーター)
- 「時代より」(リン・カーター)
- 「陳列室の恐怖」(リン・カーター)
- 「ウィンフィールドの遺産」(リン・カーター)
- 「夢でたまたま」(リン・カーター)
- 「悪魔と結びし者の魂」(ロバート・M・プライス)
- 「クトゥルー神話の大統合者」
- 「ふたつの神話の碩学」
- 年表
- 索引
- 『クトゥルーの子供たち』関連世界地図
文庫版仕様の詳細
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2014/8/30
ページ数:512ページ
価格:紙版:2200円
購入ガイド
- Amazon:「https://amzn.to/3VYTdc9」
読者レビューまとめ
良い点
- 新たな邦訳クトゥルー神話小説が読めるだけでなく、作中用語の詳しい解説や年表まで完備
- 訳注が非常に充実しており、クトゥルー神話固有の単語が出てきてもスムーズに読み進められる
- 「どうやって調べたんだ」と驚くほどの情報が多々あり、クトゥルー神話に対する訳者の熱意が伝わる
- 約500ページのボリュームで貴重な情報がたくさん詰まっており非常にお買い得
- TRPGシナリオや創作でイソグサ(「夢でたまたま」)やゾス=オムモグ(「時代より」)の外見描写の詳細を知りたい人には参考になる
- 今日のクトゥルー神話(小説及びTRPG)の基本となる作品集
- クトゥルー神話を体系化したカーターの功績が一目瞭然でわかる
気になった点
- 本書の内容を十分に楽しむには、ある程度本書に収録されていない神話作品を読む必要がある
- TRPGに多くの設定が導入されているが、必ずしも現在のTRPGの設定と一致しているとは限らない
- TRPGの参考にする場合は設定の相違について注意が必要
こんな人におすすめ!
- クトゥルー神話の体系化過程に興味がある人
- リン・カーターのゾス神話群について詳しく知りたい人
- TRPGシナリオやクトゥルフ神話作品の創作を行う人
- 詳細な訳注や解説を求める神話愛好家
- クトゥルー神話の歴史や成り立ちを学びたい人
まとめ
本書は、クトゥルー神話の体系化において重要な役割を果たしたリン・カーターの功績を示す貴重な作品集である。
ダーレスが「クトゥルー神話」と名付けて世に広めた作品群を、カーターが整理し体系化した過程を理解できる、神話研究においても創作においても価値の高い一冊となっている。