
【完全版】イスの偉大なる種族│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Great Race of Yith
目次
基本設定・概要
危険度: ★★★☆☆☆☆☆☆☆
本報告は、「偉大なる種族」として知られるイス人についての調査記録である。
イス人は、物理的な実体を持たない純粋な精神生命体である。その最も顕著な特徴は、他の生物への精神転移能力と時間旅行能力であり、これらの能力によって種の存続を幾度も成功させてきた存在である。
イス人は本来の物理的形態を持たない。他の種族の体を「まとう」という形で存在するため、彼らの本来の姿は不明である。地球での最も有名な姿は、デボン紀の円錐形生物の体である。
歴史的には、イス人の起源は超銀河世界イスにまで遡る。興味深いことに、イス以前の歴史記録は全て意図的に消去されている。イスでは当初、両生類に似た種族の体を用い、その後、精神を保持できる球体の機械装置を開発した。しかし、未知の災厄により、約6億年前に地球への大規模な精神移住を余儀なくされた。
地球到着直後、イス人は飛行するポリプとの戦いを強いられたが、優れた技術力でこれを撃退し、地下に封じ込めることに成功した。その後、彼らは数千フィートの高さを持つ建造物からなる都市を建設し、核動力の乗り物や飛行機械を開発するなど、高度な文明を築いた。
特筆すべき能力として、イス人は精緻な時間旅行技術を有している。過去への旅行は幽体離脱に似た方法で行い、未来への旅行は精神交換という方法を用いる。通常、約5年間の精神交換を行い、訪問先の時代の研究を行う。この過程で、被験者の記憶は催眠術により抑制されるが、時として夢や断片的な記憶として残存することがある。
社会的特徴として、イス人は社会主義的な共同体を形成している。知性と科学的推論を重視し、論理的な思考に基づいて資源を共有する。宗教的信仰は持たず、他種族が神として崇拝する存在も、単により高度な存在として認識している。繁殖は胞子による方式を採用し、4,000年から5,000年という長寿命のため、繁殖頻度は低い。栄養摂取は液体のみで行われる。
約5,000万年前、封じ込められていた飛行するポリプの反乱により、イス人は地球での存続を断念。最も優秀な科学者たちの精神は、木星やおうし座近くの暗黒星を経由し、人類滅亡後の地球に生息する集団意識を持つ甲虫類の体へと移住した。さらに地球の寿命終了後は、水星の球根状生物への移住を計画している。
【住処】
- イス(起源世界、詳細不明)
- デボン紀の地球(円錐形生物として)
- ナコトゥス(オーストラリア地域の巨大都市)
- 木星およびおうし座近傍の暗黒星
- 未来の地球(甲虫類として)
- 水星(球根状生物として、予定)
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
(10D6+7)*5 | (4D6+12)*5 | (8D6+36)+5 | (2D6+3)*5 |
POW | INT | HP | MP |
(2D6+6)*5 | (4D6+6)*5 | 45 | 13 |
DB | ビルド | 移動 | 正気度喪失 |
+6D6 | 7 | 7 | 0/1D6 |
行動
- 攻撃回数:2回(近接)/1回(電撃銃)
- 近接戦闘:40%/1D6
- 電撃銃(モデルA):30%/1D10/射程100m …モデルAは32発分のエネルギーがあり、1ラウンドに何発でも撃てる。しかし4発以上打つ場合は、1発毎に5%の確率でオーバーヒートする。この確率は累積する。例:7発撃つ場合のオーバーヒートの確率は、4発まで0%、5発目は5%、6発目は10%、7発目は15%となる。
- 電撃銃(モデルC):25%/1D8/射程100m …1D10+1回分の充電ができるが、人間には充電方法がわからない。1ラウンドに2発まで撃てる。
- 回避:25%
装甲
- 8ポイント
魔術
- MP:
- 呪文:10%の確率で、1D3の数だけ任意の呪文。
技能
- 科学(化学):70%・科学(生物):80%・科学(物理):90%・心理学:30%・電気修理:60%・言語(任意):40%・その他キーパーの任意。
能力
- 時間旅行:アーティファクトを使って、自身の精神を他の時代に飛ばす。
- 精神転移:あらゆる生命体の精神とも、精神の交換が行え、最大5年間乗っ取られる。
- 人間のカルト:イスの偉大なる種族を崇拝する人間を利用する。
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「時間からの影」では
- 主人公は大学の講義中に意識を失い、目覚めると知らない土地にいた
- 鏡を見ると、イスの偉大なる種族の姿に自分の意識が入っていることに気が付く
- イスの偉大なる種族は、知識探求を目的としてタイムトラベルをして、その時代にいる他生物への精神乗っ取りが可能な存在である
- 基本的に害意はなく約5年後に体を返してくれるが、その間に家族や交友関係は途切れてしまっていた

教授の体にイスの種族が乗り移った時、異種族が初めて人間の体を動かすという描写がすごく生々しく、これがホラー映画にあるような絶望する確定演出なのだと思いました。
シナリオ導入例
1:人格変貌調査型
- 大学教授や研究者が突然人格が変わり、家族から調査依頼
- 以前とは全く違う分野の研究に没頭し、異常な知識を披露する
- 身体の動きがぎこちなく、基本的な日常動作も不自然
- 家族との関係を完全に断ち、研究にのみ集中している
2:時間異常体験型
- 探索者の知人が突然意識を失い、目覚めると異世界にいる
- そこで異形の存在から「知識の提供」を求められる
- 現実世界では自分の体が勝手に行動し、周囲の人々と疎遠になっている
- 探索者は「変わってしまった仲間」を元に戻そうと奔走する

探索者を一時的な期間でも乗り移らせちゃうと、キーパーの進行が難しくなると思うので、イスの乗り移る対象はNPCにしとく方がベターかもしれません。どうやってNPCの精神を元に戻ってもらうか試行錯誤しても、結局はイスの目的が終わるまで意味がないというジレンマがいいですねっ。
演出のヒント
1:精神交換の違和感演出
- 動作の不自然さ:箸の持ち方、歩き方、表情の作り方が微妙に違う
- 知識の偏り:専門外の分野に異常に詳しく、身近なことを知らない
- 感情の希薄さ:家族や恋人への愛情表現が機械的
- 優先順位の変化:人間関係より研究を圧倒的に重視
2:知識探求の執着演出
- 研究への没頭:食事や睡眠を忘れるほどの集中力
- 資料収集の異常さ:ありとあらゆる文献や情報を集める強迫的行動
- 質問の的確さ:専門家も驚くような核心を突く質問
- 記録の几帳面さ:すべての情報を詳細にノートに記録
3:人間関係の破綻演出
- 感情の理解不能:なぜ家族が悲しんでいるかわからない困惑
- 記念日の忘却:重要な日付や約束を完全に無視
- 愛情表現の消失:抱擁や接吻などの身体的接触を避ける
- 会話の一方通行:相手の気持ちを考慮しない研究話ばかり
4:帰還後の絶望演出
- 失われた時間:5年間の空白への戸惑いと後悔
- 修復不可能な関係:離れてしまった家族や友人との距離
- 社会復帰の困難:浦島太郎状態での現実社会への適応
- 記憶の断片:異世界での体験の曖昧で断片的な記憶



人間の見た目なのに…、仲間なのに…、探索者がそんなネガティブな感情を抱くような描写を心がけると雰囲気が出そうです。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- イラスト:Joneyuan様「Great Race of Yith by Joneyuan on DeviantArt」


- 素材:インスマス計劃様「クトゥルフ神話生物素材集 リメイク!! SPLL:E108293 – インスマス計劃 – BOOTH」
単品価格:400円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
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飛行するポリプ 主要な敵対種族 | イェクーブ 関連 | ウッドヴィル(ジェームズ) 関連 |
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コルシ(バートロミオ) 関連 | ヌグ=ソス 関連 | レムリア 関連 |
【関連魔導書】
- 『エルトダウン シャーズ』
- 『ナコト写本』
登場作品
- 「時間からの影」(ラヴクラフト)
- “The Shadow from Yith”(ガレット)
- 「夢見る人」(ハーバー)
- 「異次元の影」
- 「ネクロノミコン アルハザードの放浪」