
【完全版】食屍鬼│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Ghoul
目次
基本設定・概要
危険度: ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
本報告は、「地下の死体喰らい」「墓場の住人」として知られる食屍鬼についての調査記録である。
形態的特徴として、ゴムのような弾力のある皮膚、ひづめの付いた足、犬に似た顔、長いかぎ爪を持つヒト型の怪物である。前かがみで飛び跳ねるような特徴的な歩行をし、かびのような臭気を放つ。
この存在は地下墓地や墓場の近くに棲息し、複雑なトンネル網を用いて移動する。これらのトンネルは人間の生活圏の地下に張り巡らされており、一部は覚醒の世界を超えてドリームランドにまで通じている。ドリームランドでは食屍鬼の岩山につながり、そこから闇に閉ざされ骨に覆われたナスの谷を見下ろすことができる。
主な活動として、腐敗した死体を捕食し、名状し難い快楽にふける。死体への執着から人間の居住地から遠ざかることはなく、文明の周縁でひっそりと生活している。戦争などで人間の死者が増加する時期には集まってくる習性がある。一部の学者は、死体に残された本質と人生の思い出が食屍鬼にとって甘美な栄養となっているとする説を唱えている。
人類との関係は複雑である。個々の食屍鬼は個性を持ち、魔女、魔術師、そして名状し難い快楽を求める者たちと交際するものもいれば、人間を単なる食事としか見なさないものもいる。言語能力として、「鳴く」「早口」と形容される独特の話し方をするが、人間の言葉を理解し発声することも可能である。
起源については諸説が存在する。特定の状況下で不健康な食物を摂取した人間が、長い時間をかけて食屍鬼へと変身するという伝承があり、全ての食屍鬼が元は人間であったとする説もある。また、時には人間の幼児を攫い、自身の子供と取り替えて仲間として育てる習性も報告されている。
社会構造としては、組織的な階層はほとんど存在しないが、近年では二つの有力な派閥が出現している。伝統的な墓荒らしを信条とし、モルディギアンを崇拝する伝統派と、ニャルラトテップに仕え誘拐も辞さない背教派である。また、夜鬼との同盟関係が知られており、一部の個体はニョグタやモルディギアンといったグレート・オールド・ワンとも関係を持つとされる。
【住処】
- 地下墓地、墓場の地下トンネル網
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
(3D6+6)*5 | (2D6+6)*5 | (2D6+6)*5 | (2D6+6)*5 |
POW | INT | HP | MP |
(2D6+6)*5 | (2D6+6)*5 | 13 | 13 |
DB | ビルド | 移動 | 正気度喪失 |
+1D4 | 1 | 8 | 0/1D6 |
行動
- 攻撃回数:3回
- 近接戦闘:40%/1D6+DB
- 噛みつきと押さえ込み:40%/1D4 …対象に噛みつきが命中すると、そのまま爪で攻撃を続ける。毎ラウンド1D4のダメージを与える。抜け出すには、STRの対抗ロールに勝利する必要がある。
- 回避:40%
装甲
- 火器のダメージは半分になる。
魔術
- 呪文:15%の確率で、1D10種類の呪文を知っている。
技能
- 隠密:70%・聞き耳:70%・跳躍:75%・登攀:85%・目星:50%・言語(英語など):60%。
能力
- なし。
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「ピックマンのモデル」では
- 画家リチャード・アプトン・ピックマンがボストンの画壇から突如姿を消す
- サーバーがピックマンとの交友を続けていた唯一の人物として証言を始める
- ある夜、ピックマンがサーバーをコップスヒル墓地近くの秘密のアトリエに誘う
- サーバーがアトリエで想像を絶する悪魔的な絵画の数々を目撃
- ピックマンが古の伝承「取りかえ仔」(人間の子供と入れ替わる異形の存在)について語る
- ピックマンのアトリエの地下から異形の声が聞こえる

話の流れ的には、ピックマンは食屍鬼の取りかえ仔だったのでしょう。
その後の「未知なるカダスに夢を求めて」に再登場した際には、食屍鬼の長になっていて、見た目も食屍鬼化していました。
シナリオ導入例
1:地下墓地侵入型
- 都市部の古い墓地で、管理人が連続して行方不明になり、墓荒らし事件も多発する
- 調査により墓地の地下に、巨大なトンネル網が存在することが判明する
- トンネル内部で犬顔の人型生物との遭遇が報告される
- 失踪した管理人の一部が、食屍鬼に変貌した姿で発見される
2:人間変化阻止型
- 田舎町で住民が原因不明の身体変化を起こし、死体への異常な執着を示し始める
- 変化した住民たちが夜な夜な墓場に集まり、不健康な食物を摂取する儀式を行う
- 古い住民から「特定の状況での食事」が人を食屍鬼に変える伝承を聞く
- 町の一部の住民が既に完全な食屍鬼に変貌し、地下トンネルで生活している

どうやって現代社会に溶け込めているのかは、取り替え仔で話がつきます。
ただ全ての食屍鬼が悪い存在というわけではありません。
ピックマンのように人間として生きてきたからこそ、人間の感情が残っているものもいるので、シナリオでは味方にしても、敵にしても良しですっ。
演出のヒント
1:犬顔人型の異形演出
- 人間の体に犬の頭部という生物学的に不可能な組み合わせ
- ゴムのような弾力がある皮膚の、不自然で気持ち悪い質感
- ひづめの足音が人間ではない象徴
2:かび臭の嫌悪演出
- 死体と腐敗を連想させる、強烈で不快な異臭
- 密閉された地下空間での悪臭の濃縮による息苦しさ
- 臭いだけで食屍鬼の接近や存在を察知できる
3:死体執着の異常演出
- 死者を「味わう」という摂食行為
- 戦争や災害時に群がってくる死体への執着
- 新鮮な死体より腐敗の進んだものを好む
4:人間変化の段階演出
- 不健康な食物摂取から始まる、緩やかな身体変化
- 人間性を失いながらも知性を保持する複雑な心情



その個体が純粋な食屍鬼なのか、元人間なのかで探索者のロールプレイも変わってくると思います。
わざわざ教えずに、人間らしい仕草や良心をロールプレイして、元人間らしさを描写するのも乙かもっ。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- イラスト:Eclectixx様「Ghoul by Eclectixx on DeviantArt」


- 素材:HasuYa様「神話生物素材「食屍鬼」 – HasuYa – BOOTH」
単品価格:200円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
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ニョグタ 関連 |
【関連魔導書】
- 「ネクロノミコン アルハザードの放浪」
- 「アルハザード」
登場作品
- 「ピックマンのモデル」
- 「未知なるカダスを夢に求めて」
- 「遙かな地底で」
- 「哄笑する食屍鬼」
- 「名もなき末裔」
- 「食屍姫メリフィリア」
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- “Identity Crisis”
- “Delta Green”
- “Pickman’s Student”