
【完全版】深きもの│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Deep Ones
目次
基本設定・概要
危険度: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
本報告は、「海の種族」「不死なる水棲者」として知られる深きものについての調査記録である。
形態的特徴として、この種族は類人猿に似た体格を持つ水陸両生の存在である。頭部は魚に似ており、ふくれあがった大きな眼と蛙のような大口を持つ。首の両側には鰓があり、長い四肢の先端には水かきが発達している。体色は灰色がかった緑で、腹部は白く、盛り上がった背中には鱗を持つ。陸上ではぴょんぴょん跳びはねるような特徴的な歩行をする。個体は成長と共に大きくなり続け、種族の指導者である父なるダゴンと母なるハイドラは最古かつ最大の個体である可能性が指摘されている。飢餓状態では体が著しく縮小することがあるが、死には至らない。
意思疎通には生来のテレパシー能力を用い、また雑音のような鳴き声で人間の手先と会話することも可能である。社会性が高く、世界中の海底に真珠層で飾られた石造都市を建設している。主な都市として、マサチューセッツ沖のイハンスレイ、コーンウォール近くのアフ=ヨーラ(イル=ヨーラ)、北海のグル=ホー(クトッホ)、南極大陸沖のイハ=ゴム=ロアなどが知られている。各都市での活動は効率的に調整され、個々の成員は共同体のために疑問なく任務を遂行する。
信仰体系として、主にクトゥルフと、父なるダゴン、母なるハイドラに仕えている。一部の個体はバイアティスなどの他のグレート・オールド・ワンも崇拝するが、クトゥルフの崇拝が最も優勢である。
人類との関係において特筆すべきは、孤立した沿岸集落との接触パターンである。深きものは黄金の財宝と豊漁を約束する見返りとして、人間との契約関係を結ぶ。この関係は「ダゴン秘密教団」などの崇拝組織の形成へと発展し、最終的には人間と深きものの交配を含む儀式へと至る。この交配から生まれた子は一見して人間の外見を持つが(「インスマス面」と呼ばれる特徴を除いて)、年月の経過と共に深きものへと変貌し、最終的に海中の同族の元へ帰還する。この変化の進行速度と影響は個体差が大きく、母胎内で既に変化が始まる例から、完全な変貌に至らない例まで様々である。
不死性を持つこの種族は、暴力的な手段以外では死することがなく、その長寿により優れた科学者や神官となる者も多い。また、世界中に人間(交雑種を含む)の支援者ネットワークを持ち、彼らを通じて自身の存在の隠蔽、新たな信者の獲得、交雑種の保護などを行っている。
【住処】
- インスマス
- 世界中の海底都市(イハンスレイ、アフ=ヨーラ、グル=ホー、イハ=ゴム=ロアなど)
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
4D6*5 | 3D6*5 | (3D6+6)*5 | 3D6*5 |
POW | INT | HP | MP |
3D6*5 | (2D6+6)*5 | 13 | 10 |
DB | ビルド | 移動 | 正気度喪失 |
+1D4 | 1 | 10 | 0/1D6 |
行動
- 攻撃回数:1回
- 近接戦闘:45%/1D6+DB
- 回避:25%
装甲
- 1ポイント。
魔術
- 呪文:40%の確率で、1D4種類の呪文を知っている。呪文はダゴンやクトゥルフに関するものとなっている。
技能
- 隠密:40%・聞き耳:40%・水泳:90%・登攀:30%・目星:60%・言語(深きものの会話語):70%・言語(ルルイエの象形文字):70%
能力
- 水中での呼吸:水中でも陸上でも呼吸ができる。
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「時間からの影」では
- 1927年7月、主人公が成人記念にニューイングランドを旅行
- 大人たちの忠告を無視してインスマウス行きのバスに乗車
- 港町インスマウスに到着し、廃屋のような建物と魚めいた顔立ちの住民を目撃する
- 酔いどれの老人からオーベッド・マーシュ船長と海洋生物の混血についての真相を聞く
- 主人公がバスで街を去ろうとするがバスが故障し、ホテルで一泊を余儀なくされる
- 深夜、人間でない複数の何者かが部屋に侵入しようとする
- 主人公がホテルから逃亡する
- 街からの脱出を試みるが、多くの人間でない追っ手に追われる
- 追っ手の正体を見て気絶するが、草深い廃線路で発見されずに済む
- 翌日、インスマスからの脱出に成功する
- 主人公が警察にインスマスの秘密を報告し、爆破を実施する
- 主人公がマーシュ船長と海洋生物の子孫であることが発覚する

初見の時は衝撃のオチでした。
インスマスの真相を明かしてハッピーエンドかと思いきや…。みたいな陰鬱なラストが本作を名作にしたと思います。
本作はその後のクトゥルフ神話の物語に大きく影響しているので、とりあえず読むのがおすすめっ。
シナリオ導入例
1:契約腐敗型
- 経済的に困窮する漁村で、突然の大漁と謎の黄金発見により村が潤い始める
- 村の古老たちが「ダゴン秘密教団」を結成し、若者たちに新しい信仰を強要する
- 村民の一部が夜な夜な海岸で奇怪な儀式を行い、海中の何かと交流している
- 村の繁栄の裏に、人間と深きものの交配契約が隠されていることが判明する
2:血統覚醒による変貌型
- 都市部で生活する探索者が、成人後に原因不明の身体変化が始まる
- 皮膚の鱗化、呼吸困難、海への異常な執着などの症状が段階的に進行していく
- 家系調査により、数世代前の先祖がインスマス出身であることが判明する
- 夢の中で海底都市イハンスレイの幻影を見るようになり、テレパシー的な呼び声を聞く
- 同様の症状を持つ他の混血者たちとの接触が始まる

もし自分が深きものの血縁だとわかったら、どういう決断を下すか。意志があるうちに決着をつけるのか、運命に身を任せるのか、性格が大いに出そうです。
シナリオの参考として「永劫より」を読むのもおすすめっ。
演出のヒント
1:両生類の気持ち悪さ演出
- 魚と猿と蛙の特徴が混在する生物学的に不可能な外見
- 湿った鱗に覆われた肌と、白い腹部の気持ち悪い質感
- 首の両側でぱくぱく動く鰓
- 陸上でのぴょんぴょん跳ねる歩行
2:テレパシー疎通の不安演出
- 言葉を交わさずに意思が伝わる
- 自分の思考が読まれている可能性への恐怖
- 雑音のような鳴き声による人間の手先との会話
3:契約の段階的演出
- 最初は恩恵に見える、黄金と豊漁による経済的誘惑
- 信仰への段階的な誘導
- 交配で契約という最終段階での完全な人間性の放棄



一度恩恵を受けた後に、逃げられるかと言ったら難しい気もします。
やはり宗教…ダゴン教団は特に陰湿そう。
交配まで出来る信者は完全に堕ちているでしょう。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- イラスト:wraithdt様「Cthulhu Wars – The Raid on Innsmouth by wraithdt on DeviantArt」


- 素材:いむらぼTRPG様「クトゥルフ神話生物素材「深きもの2」SPLL:E192031 – いむらぼTRPG – BOOTH」
単品価格:300円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
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バイアティス 一部信仰 |
【関連魔導書】
- 『深海祭祀書』
- 『淵みに棲む者』
- 『妖蛆の秘密』