- 「白蛆の襲来」「ルリム・シャイコース」(C.A.スミス)
- 「Zoth-Ommog」(カーター)
- 「The Light from the Pole」(カーター & C.A.スミス)
- 『Selected Letters IV』(ラヴクラフト)
本報告は、「白蛆」「氷の要塞の支配者」として知られるルリム=シャイコースについての調査記録である。
形態的特徴として、この存在は巨大な白い蟲の姿を持ち、象海豹よりも大きな体躯を有する。その頭部は肉厚な白い円盤状で、歯も舌もない口裂を持ち、2つの眼窩からは血のように赤い眼球のような小玉が絶えまなくしたたると報告されている。
この存在は先史時代、ムー・トゥーランの古代大陸に出現してこれを滅ぼしたとされる。『エイボンの書』によれば、ハイパーボリアが世界の強国だった時代に太陽系の外から地球に飛来し、氷の要塞イイーキルスに乗って北極から南へと移動を開始したという。その航跡は強大な呪力によって万物を凍結させ、触れた者すべてを即死させる寒気で荒廃させたとされる。
現在、この存在は氷づけの要塞イイーキルスとともに世界中の海を漂流しているとされる。この状況について、複数の説が存在する。一説では旧きものの魔術により、ルリム=シャイコースとその城塞都市の時空間が分断され、終わりなき旅の円環に置かれたとする。別の説では、この存在は地球を離れたことはなく、現在も氷山の中で地球の潮流を漂っているとされる。
イイーキルスの出現は、信奉者にとっては喜ばしい徴であるが、他者にとっては死の先触れとされる。船乗りたちの間では、奇妙な神殿の尖塔がそびえる漂流氷山の目撃譚が伝えられており、「悪魔の氷山」と呼ばれ、その「悪魔の冷気」は船を吹き飛ばし、帆も動力も凍結させるという。硬く凍りついた船乗りや、氷で覆われた港とその行方不明になった住人についての伝承も残されている。
この存在の起源については、アフーム・ザーの落とし子として地球に送られ成熟したとする説と、地球外で生まれ豊富な餌を求めてこの惑星に引き寄せられたとする説が対立している。魔術的能力に関しては、実質的に全知全能とされ、特に氷結と寒気に関する強大な力を持つ。
特筆すべき関係として、イーリディームと呼ばれる幽霊のような種族との関連が示唆されている。これらは寒気の中でも生存できるよう作り変えられた偉大な魔術師たちであり、ルリム=シャイコースの召使いあるいは代理人として、旅する氷山に同行している可能性がある。
【関連魔導書】
- 『エイボンの書』
【相関】
- アフーム・ザー(親または主人説あり)
- イーリディーム(従者)
- エイボン(記録者)
【能力】
- イイーキルス…イイーキルスは周囲の気温を急激に下げ、近くにいる生物は凍りつく。
- 護衛…冷たきものがついている。
- 氷の接触…ルリム=シャイコースが触れたものは凍り、火をあてても溶けることはない。
- 子守唄…ルリム=シャイコースの声を聞いたものは眠りにつく。
【恩恵】
氷の手…両手から寒気を出し、触れたものを凍らせることができる。