- 「レッド・フックの恐怖」
- 「ネクロノミコン アルハザードの放浪」
【住処】
- ドリームランド
本報告は、「夜の悪魔」「夢の支配者」として知られるリリスについての調査記録である。
形態的特徴として、この存在は複数の姿態で出現することが確認されている。最も一般的な形態は、不吉な美を湛えた不老の女性の姿であり、雪花石膏のような滑らかな肌、豊かに波打つ漆黒の髪、石炭のように黒く輝く目を持ち、唇は肉欲的な深い赤色を呈する。時には背中から翼が生えることもある。また、別の形態として、輝くうろこに覆われ、りん光を放つ長い四肢を持ち、獣のような、あるいは堕落した特徴を有する人型の姿でも現れる。
一部の魔導書は、これらの外観の下に隠された真の姿について言及している。それによれば、リリスの本質は卵形の怪物であり、そこから六対の巨大な四肢が伸び、各四肢にはかぎ爪のような指が付いているという。
歴史的背景として、この存在は人類の記録の中で最も古くから言及されている神話的存在の一つである。最古の記録は紀元前2,000年以前のシュメールの叙事詩『ギルガメシュとフルップの木』に遡り、その後バビロン、エジプト、ギリシャ、ヒッタイト、ヘブライなど、多くの古代文明の文献に登場する。特にバビロンの悪魔論では、女性と子供を餌食にする存在として描かれ、追放のための魔除けの言葉が記されている。旧約聖書においては荒野の魔物として描かれ、預言者イザヤによって追放されたとされる。
一説によれば、リリスはかつて強力な謎めいたオールド・ワンであったが、地球のドリームランドに追放される(あるいは逃亡し)、そこで大いなるもの(ドリームランドの神々)として生まれ変わったとされる。その後、人類の黎明期より地球の夢に影響を及ぼし、様々な姿を通じて人類の意思を操ってきたという。現在は主に夢の中に囚われているとされるが、覚醒世界に一時的に実体を持って顕現する能力を保持している。
将来に関する予言として、いつの日かリリスがドリームランドの牢獄から十分な力を取り戻し、世界と世界の間にある場所や神殿へ旅立つとされている。その後の展開については不明である。
この存在の正体については諸説が存在する。一部の研究者はリリスをニャルラトテップの巧妙な偽装と考え、また別の者たちは独立した神格であると主張する。ニャルラトテップとの関係については、かつての何らかのつながりが敵対や憎悪に変質したとされ、両者は常に覇権や支配を求めて争っているという説もある。また、シュブ=ニグラスの異称であるとする説も存在する。
【関連魔導書】
- 『悲哀の詩篇』(発行年および著者不明)
【相関】
- ニャルラトテップ(敵対関係の可能性)
- シュブ=ニグラス(同一存在説あり)
- ドリームランドの神々(変容後の同類)
【能力】
- 惑わす魅力…人の姿で現れ人を魅了し、魅了された人間はリリスのために働く。
- 通り抜ける…実体を持ちながら、どんな障害物でも通り抜けることができる。
- 夢の会話…人間の夢に干渉でき、リリスへの奉仕を促すような夢に作り替える。
- キス…キスした対象から魔力を吸い取る。
【恩恵】
- 魅惑…性別を問わず対象を惑わすことができる。
- 壮麗な夢…ドリームランドに行き、リリスのための仕事をする。