【登場作品】
- 「博物館の恐怖」 (ヒールド)
- 「暗黒の儀式」 (ラヴクラフト&ダーレス)
- 「モーロックの巻物」
- 「極地からの光」
- 「クトゥルー神話の神々」 (カーター)
- “Where a God Shall Tread” (アニオロフスキー)
【住処】
- 現在:アラスカのヌトカ河上流の石造都市地下三階(象牙の玉座)
- 過去:北極圏地域
【概要】
本報告は、「饗宴に列するもの」として知られるラーン=テゴスについての調査記録である。
形態的特徴として、この存在は球形の胴体を持ち、先端が蟹の鋏状になった六本の長い手足を有する。泡状の頭部には三角に位置する魚の目と、長さ一フィートの鼻を持つ。全身には吸引管が密生しており、これを用いて生贄の血を吸い取るとされる。
このグレート・オールド・ワンはユゴス(冥王星)に起源を持ち、約3万年前(一説では300万年前)に地球へ飛来したとされる。かつて現代のアラスカ周辺地域を支配し、「象牙の玉座」の上に「宮廷」を開いていたという。『ナコト写本』によれば、この時代のラーン=テゴスはノフ=ケーや人肉食の原人(おそらくヴーアミ族)から崇拝を受け、崇拝者たちは生贄として常に血を供給していたとされる。
この存在の起源については諸説が存在する。『ナコト写本』の記述から、シュブ=ニグラスの落とし子とする説がある一方、その解釈に異を唱え、ツァトゥグァの落とし子とする説も存在する。現時点では更なる証拠の発見を待つ必要がある。
特筆すべき特性として、ラーン=テゴスは絶えず何かを食らい続ける必要があるとされる。供物が減少し途絶えると、冬眠あるいは死に近い深い眠りに落ちる。多くの学者は、この深い眠りが栄養不足によるものであれ旧き魔術によるものであれ、今回が最後の「入眠」になると考えている。『ネクロノミコン』は「饗宴に列するもの」を星辰正しき刻に最初に目覚めるものとして言及しており、一部の研究者はこれがラーン=テゴスを指すと解釈している。
現代において、北米とカナダを中心とした考古学的発掘調査で、この存在に類似した大小様々な石像や偶像が出土している。特に注目すべき事例として、ある博物館に収容された巨大な彫像が「生き返った」という報告があり、これが事実であれば、ラーン=テゴスが一時的に覚醒し、地上の似姿を通じて顕現する能力を持つ可能性が示唆される。
20世紀初頭には、ロンドンろう人形館の館長がフォート・モートンからノアタック川をさかのぼり、ラーン=テゴスの都市の廃墟を発見したとされる。巨大な象牙製の王座に眠る神を発見し、これをロンドンに持ち帰ったとされるが、この探検家はその後姿を消し、「像」はオンタリオ美術館に売却された。当初アレウト族の彫刻と考えられていたが、ある大学院生によって偽物と断定され、その後像は消失したという。