- 「Reflections of Dust and Death」(アンブール)
- 「Identity Crisis」(クルーガー)
- 「食屍鬼の神」(C.A.スミス)
- “Delta Green”(デトワイラー、グランシー&タインズ)
- 「死体安置所の神」
【住処】
- 現在:ドリームランドの骨の海付近
- 過去:諸大陸の地下墓地網
本報告は、「死者を喰らう者」「死のごとく古い全能の神」として知られるモルディギアンについての調査記録である。
形態的特徴として、この存在は生ける死と暗黒が塊となった影を本質とする。その姿は可変的であり、時に食屍鬼のような外見を取り、またある時は悪夢が渦を巻いているような触肢と巨大な口を備えた姿となって現れる。モルディギアンが出現する際には必ず、周囲の火などの熱源や光が消え去り、同時に死を強く感じさせる強烈な悪臭が漂うことが報告されている。
この神格の特筆すべき特性として、独特な移動方式が挙げられる。食屍鬼の伝承によると、モルディギアンは魔術による移動を好まず、代わりに食屍鬼の広大なトンネル網を通って世界と世界の間を行き来するという。多くの研究者は、この存在が望めば生来の力で瞬間移動できるはずだと考えているが、興味深いことに、崇拝者による召喚時以外にそのような移動を行使することはないとされる。
歴史的には、かつて諸大陸で広く崇拝された神格であったが、現在では限られた数の老いた食屍鬼のみがその信仰を保持している。しかし、未来のゾシークにおいて、特にズル=バー=サイールの都市を中心に、再び組織的な崇拝が行われるだろうという予言が存在する。
人類との関係において、モルディギアンは基本的に無関心な態度を示す。この神格は人間をただの栄養源としてしか見ておらず、特に死後時間が経過した遺体を好むとされる。しかし注目すべきは、食屍鬼と友好的な関係にある人間に対しては時として慈悲を示すことがある一方で、食屍鬼の利益に反する者に対しては容赦のない報復を行うという二面性である。
ある説によれば、モルディギアンは覚醒世界とドリームランドの両方を巨大な死の納骨堂に変えることを望んでいるという。この仮説の真偽は現時点では確認されていない。
【関連魔導書】
- 『屍食教典儀』(ダレット伯爵著)
- 『食屍鬼写本』
【相関】
- 食屍鬼(庇護者としての関係)
- ゾシークのズル=バー=サイールの都市(将来の崇拝地)
【能力】
- めまいのする感覚…モルディギアンを見た者は、その激しい姿の成り変わりで催眠術にかかる。
- 火を吸い取る…モルディギアンが存在する場所は光源も熱源も消えてしまう。
- 完全消滅…モルディギアンに食べられると、肉体だけでなく、魂まで消滅してしまう。
【恩恵】
- 知識の継承…死んだ人間を食べると、その者が持つ記憶を引き継げる。
- 食屍鬼の視覚…嗅覚が強化され、また暗闇でも目が効くようになる。
- 変身…食屍鬼のような姿になる。