「ヒプノス」(ラヴクラフト)
『イーリアス』(古代文献)
『アエネーイス』(ウェルギリウス)
『変身物語』(オウィディウス)
【住処】
- 現在:北冠座(主たる居所)、ドリームランド全域
- 過去:レテ川近くの洞窟(古代ギリシャ時代)
本報告は、「眠りの神」「夢の大帝」として知られるヒプノスについての調査報告書である。
形態的特徴として、主に美青年の姿で出現し、卵形の顔を持つとされる。しかしその真の姿は、狂気をもたらす可塑性に富んだ形態で、絶えず変化し、人間の深層心理における恐怖を具現化するという。この真の姿を目撃した者はごくわずかであり、その多くは一瞬の露見によるものとされる。
その本質については複数の解釈が存在する。旧き存在の顕現とする説がある一方で、人類の集合的無意識から生まれた融合体とする説も提唱されている。後者の場合、数世紀にわたる数百万の人々の無意識的精神力が結合し、生命を得た有機体として説明される。興味深い点として、この存在には夢を見ている実体によってのみ危害を加えることが可能とされている。
活動領域は地球のドリームランドに限定されず、宇宙全域に同時存在する可能性が指摘されている。北冠座に住まいを持つとされ、注目した対象に赤金色の光線を放ち、その者を引き寄せる能力を持つという。接触した者には何らかの徴が残されることがあるとの報告も存在する。
人類との関係は複雑である。夢から糧を得る寄生的存在である一方、夢の守護者としても機能し、自身の供給源である人類の保護も行う。この二面性により、時に慈悲深く、時に打算的な態度を示す。ドリームランドを脅かす存在に対しては積極的な対抗措置を取り、時として人類を手駒として利用することも報告されている。
古代文明における記録は豊富に残されており、古代ギリシャでは『イーリアス』に、古代ローマではソムヌスの名でウェルギリウスの『アエネーイス』やオウィディウスの『変身物語』に登場する。
【相関】
血縁:
- タナトス(死の神、兄弟との説)
【能力】
- 夢見る者を変化させる…夢見る者にヒプノスが気づくと、その存在を別の存在に変化させたり、新しい能力を与えたりと様々なことを起こす。