- カーター「Carcosa Story about Hali」
- カーター&R.プライス「The Strange Doom of Enos Harker」
- デ・カストロ「最後の実験」
- ヒールド「永劫より」
- ビショップ「墳丘の怪」
- マーレイ「Black Fire」「To Clear the Earth」
- ラヴクラフト『Selected Letters III, IV』
- 「ナグとイェブの黒き連祷」
【住処】
- イアン=ホーの漆黒の太陽(現在)
- アイレム、ムー、クン=ヤンの神殿(過去の崇拝地)
本報告は、イアン=ホーの漆黒の太陽に宿る「双子」の存在、ナグとイェブについての調査記録である。
形態的特徴として、渦を巻く蒸気状でありながら半固体の性質を持つ存在で、触肢、目、口が絶え間なく生成と吸収を繰り返す動的な姿を呈する。直径約90メートルの球体として、直径80キロメートルの漆黒の太陽の中心で、黒い炎に包まれた状態で存在している。この巨大な黒い太陽は、クン=ヤンの向こう、地球の中心に位置するイアン=ホーの都市の「空」に浮かんでいる。
起源については複数の説が存在する。最も広く知られているのは、ヨグ=ソトースとシュブ=ニグラスの交わりによって生まれたとする説である。一方で、シュブ=ニグラスとハスターの落とし子とする説も存在する。両者が常に共に言及されることから、後者の説も一定の説得力を持つとされる。
特筆すべき特徴は、両者が永続的な結合状態にあることである。予言によれば、この状態は彼らが自ら離れることを選択するまで続き、その時点で完全な成体となり自己意識を獲得するとされる。この分離は世界の終末の前兆とされ、グレート・オールド・ワンの解放、旧き神々の終焉、地球の破壊と再生といった一連の事象の引き金となるとされる。
繁殖に関して、両者は不浄な交わりを通じて怪物を産み続ける。時には崇拝者や犠牲者との交配も行う。その子孫は黒い軟体の塊として、複数の唾液を垂らす歯ぎしりする口と、触手からかぎ爪まで様々な形状の無数の不均衡な四肢を持つ。
歴史的には、アイレム、ムー、クン=ヤンにおいて崇拝の対象となっていた。特にアイレムの神殿では陰陽の象徴が掲げられ、宇宙的二元論の具現として解釈されていた可能性がある。彼らの儀礼は特に忌避される性質のものであったとされる。
予言によれば、グレート・オールド・ワンの復活のために地球を浄化する使命を持ち、その目的のために「イェブの炉」と「ナグのたいまつ」と呼ばれる二つの装置を使用するとされる。
レンの修道士の秘密教義では、ナグとイェブはそれぞれロイガーとツァールの秘密の名であり、星辰正しき時にはクルールー(クトゥルフ)とニャルラトテップとして知られるという異説も存在する。
【相関】
血縁:
- ヨグ=ソトースとシュブ=ニグラス(親との説)
- シュブ=ニグラスとハスター(親との別説)
- クトゥルフとツァトゥグァ(無性分裂による子との説、後者は疑問視)
同一視
- ロイガーとツァール(レンの修道士の教義)
- クルールーとニャルラトテップ(星辰正しき時)
【能力】
- 落とし子…黒い軟体の奇形なクリーチャーを生み出す。
【恩恵】
- 恩恵はなく、しかし崇拝するものは、いつの間にかナグとイェブのいる太陽の中にいて、そこで二体の神格と交わり、別の存在として生まれ変わることがある。