【登場作品】
- 「七つの呪い」 (C.A.スミス)
- “H.P. Lovecraft’s Dreamlands” (ウィリアムズ&ピーターセン)
- 『賢者の石』 (C.ウィルソン)
- “Web of Memory” (シマンスキ)
- “The Andaman Islands” (ハーバー)
- 『クトゥルフ神話図説』 (ピーターセン)
- 『A Guide to the Cthulhu Cult』 (ペルトン)
- 「Heterodox Churches in Innsmouth」 (マーシュ)
【住処】
- ヴーアミタドレス山の地下亀裂
- ツァトグアの洞窟深部
- シベリアの某所
- ペルーの某所
- 覚醒世界とドリームランドの間の裂け目
【概要】
本報告は「アトラナート」としても知られる次元間存在についての調査記録である。
外見は人間大の蜘蛛の体躯に人に似た頭部を持ち、毛に縁どられた狡猾そうな小さな目と甲高い声を特徴とするが、これは人間には蜘蛛として知覚される一つの表象に過ぎないとされる。他種族や他次元での姿については現時点で確認されていない。
当該存在の起源に関して、ツァトゥグァと共に土星から地球に来訪したという記録が存在する。現在の主たる活動拠点はヴーアミタドレス山の地下にある巨大な亀裂内とされ、近年ではシベリアやペルーからも目撃報告が確認されている。また、ツァトグアの洞窟の奥深く、底なしの深淵にも棲むとされる。
最も特筆すべき特徴として、当該存在は複数の次元に跨がる広大なクモの巣を永続的に紡ぎ続けているという点が挙げられる。この作業は覚醒世界とドリームランドの間の底なしの裂け目に架橋を設ける行為とされ、世界の終わりまで継続される永遠の仕事として認識されている。なお、この巨大な構造物の一部は地球上の特定の場所、特に人目につかない場所(屋根裏、地下室等)に出現することが報告されている。
影響力の及ぶ範囲として、全てのクモを支配するという伝承が広く存在し、特に「アトラック=ナチャの子ら」と呼ばれる中生代の化石種を統率していたとされる。これらの化石は特殊な秘儀により復活可能とされ、現代でも世界各地で確認されている。
崇拝に関して、フェニキア文明での信仰が確認されており、現代においてもインドとアンダマン諸島に信仰集団が存在する。当該存在は主に魔術師との交流を好み、秘儀的知識との取引を行うとされる。ダゴン秘密教団においては「死の木」に棲み、特定の人々を処罰する存在として認識されている。
注目すべき仮説として、この広大なクモの巣の構築がヨグ=ソトースの力に対抗する手段である可能性が指摘されている。両者は宇宙的な規模のゲームを展開しているとされ、その結末は人類にとって好ましくないと予測されている。
歴史的事例として、1985年頃にバートン=ドハティ探検隊が当該存在の探索を試み、グラスファイバー装甲を装備して臨んだものの、以後消息不明となっている事件が報告されている。