【住処】
- くじら座ミラ(オミクロン星)近傍
本報告は、「ニア=ウブ=ヘーア」としても知られるウーツル=ヘーアについての調査記録である。
ウーツル=ヘーアは、その性質や起源について多くの議論が続く謎めいた存在である。現在の主流な見解ではグレート・オールド・ワンに分類されているが、その真偽については未だ確定的な結論に至っていない。
形態的特徴については、既知の資料からは明確な記述を見出すことができない。しかし、シュブ=ニグラス同様の「ミルク」を分泌する特徴が報告されている。この液体は『星の財宝』(1658年、ウィーン、著者不明)によれば、傷を癒し洞察力を授ける「驚くべき」性質を持つとされる。ただし、その影響は「甚大」とされ、「強固な不屈の精神」を持つ者のみが摂取を検討すべきとの警告が記されている。
住処については、くじら座のミラ(オミクロン星)近傍に存在すると考えられている。特筆すべき点として、この存在は招来されない限り自身の棲みかを離れることができないという制約を持つと推測されている。
起源については複数の仮説が存在する。シュブ=ニグラスもしくはイブ=ツトゥルから生み出された存在とする説、シュブ=ニグラスの化身とする説、何らかの外なる神の産物とする説、さらにはグラーキの双子であるとする説などが提唱されている。『ネクロノミコン』においては、シュブ=ニグラスへの儀式の文脈で「ニア=ウブ=ヘーア」という名称が言及されており、これをウーツル=ヘーアの別名とする解釈も存在する。
地球との関わりについて、記録された招来の事例は極めて少ない。注目すべきは、これらの招来が必ずしも意図的なものではない可能性が指摘されていることである。特に、シュブ=ニグラス(黒き母)の招来を目的とした儀式において、予期せずウーツル=ヘーアが出現したとの報告が存在する。この現象について、一部の研究者は、ウーツル=ヘーアが他の存在への招来儀式を「乗っ取る」能力を持つ可能性を指摘している。この行動は、地球のカッコウに似た寄生的な手法で自身の影響力を拡大し、崇拝者を獲得する戦略である可能性が示唆されている。
ウーツル=ヘーアの究極的な動機や目的については、確実な証拠が著しく不足している。何らかの「旧き」拘束下にあり、その解放と自由を求めているとする仮説も存在するが、現時点では推測の域を出ない。
【関連魔導書】
- 『ネクロノミコン』(ニア=ウブ=ヘーアの名での言及)
- 『星の財宝』(1658年、ウィーン、著者不明)
【相関】
- 血縁:シュブ=ニグラス(親または本体説)、イブ=ツトゥル(親説)、グラーキ(双子説)
- 関連:外なる神(創造主説)
【能力】
- ウーツル=ヘーアのミルク…ウーツル=ヘーアのミルクを飲めば、どんな傷も癒えるが、幻覚を見ることがあり、また、飲んだ者の体には不気味な腫れ物ができ、そこから同じようにミルクが出るようになる。
【恩恵】
- 不滅…致命傷でもすぐに塞がるほどの驚異的な回復力が身につく。
- 変身…成りたい人間の血を飲むと、その人の姿に変身できる。