
【完全版】イタクァ│登場作品・概要・シナリオ制作のヒントなどを完全網羅!※ネタバレ注意※
Ithaqua
目次
基本設定・概要
危険度: ★★★★★★★★★☆
本報告は、風を歩むもの「大いなる白き沈黙の神」として知られるイタクァについての調査記録である。
イタクァは北極圏およびその周辺地域に強い結びつきを持つ旧支配者の一柱である。この地域には何らかの境界線が形成されているとされ、主にこの圏域での目撃報告が集中している。ただし、その影響力は世界中に及んでおり、この神格を表す印や彫像は地球上のあらゆる場所で発見される可能性がある。これらの遺物の中には、イタクァの力の痕跡やけがれを宿すものも存在するという。
形態的特徴として、イタクァは多様な姿で現れることが知られている。最も典型的な姿は、巨大なヒト型の骸骨のような形態で、燃えるような赤い目と歪んだ不気味な容貌を持ち、それは苦痛に満ちた人間の顔の劣悪な模倣のように見えるという。水かきのある足を持ち、空中を固い地面のように歩行できる特徴も報告されている。別の目撃証言では、厚い毛に覆われ、かぎ爪と牙を持つ巨大な雄ジカのような姿として描写される。全ての報告に共通する特徴として、蒸気と霧でできた巨大な雲を吐き出し、その周囲で雪が奇妙な模様を描きながら渦を巻く現象が観察されている。これらの多様な外見は地球上に存在するものの姿を反映または模倣している可能性が高く、観察者の理性を通して解釈された結果であると考えられている。
イタクァの行動は極めて特徴的である。荒野を徘徊し、不運な旅人の前に出現しては、誰も知らない場所へと連れ去るとされる。犠牲者の多くは二度と姿を現さないが、生存者も存在する。生還者は山腹で意識や記憶を失った状態で発見されることが多く、また地面や木の枝に吊るされた状態での凍死体として発見されるケースも報告されている。生存者には永続的な影響が残り、寒さや山、未開の森林地帯への強い恐怖を示すようになる。一部では生肉への異常な渇望が発生し、このことからイタクァと食人行為の関連性が指摘されている。さらに特筆すべきは、多くの生存者が「風に乗りて歩むもの」のささやきを聞くようになり、この呼びかけに従った者は姿を消し、人間らしさを失って別の存在へと変貌するという。
歴史的に、イタクァは「ウェンディゴ」という名称で知られることがある。この呼称はアルゴンキン族の民間伝承に由来し、ノバスコシア、カナダの東海岸、五大湖地域の森林地帯で語り継がれてきた。アルゴンキン族にとってウェンディゴは邪悪で人を食う精霊であり、人々に取り憑いて凶悪な怪物に変えてしまう存在として恐れられてきた。しかし、イタクァとウェンディゴの関係については、同一視する説と別個の存在とする説が並立している。
イタクァの行動範囲は、主に北部マニトバと北極点の間に制限されているものの、特定の状況下では温帯地域への移動も可能とされる。また、5年に一度の周期で他次元への旅から地球に戻ってくるとされ、その際には北方の人々の間に潜むカルトが著しい活性化を見せる。カルトの活動拠点として、スティルウォーターの町やアラスカのコールド・ハーバーが知られており、これらの集団は例外なく人身御供の実践に関与している。
【住処】
- 現在:北極圏及び周辺地域
- 過去:北極の風の神殿(冬至の夜のみ出現)、ボレアの世界の丘の地下(一時期)
ゲーム上ステータス・能力・恩恵等
ステータス(7版)
STR | CON | SIZ | DEX |
250 | 750 | 500 | 150 |
POW | HP | MP | DB |
175 | 125 | 35 | +8D6 |
ビルド | 移動 | 正気度喪失 (姿を見た時) | 正気度喪失(声のみ) |
9 | 10/飛行30 | 1D10/1D100 | 1/1D6 |
行動
- 攻撃回数:1回
- かぎ爪と噛みつき:80%/4D6 …装甲を無視してダメージを与える。
- つかむ:80%/ダメージ変動 …かぎ爪と噛みつきを使用した際に、対象をそのままつかむことができる。押さえ込んだ場合、噛みついて6D6のダメージを与える。押しつぶした場合は、8D6のダメージ、投げた場合は4D6のダメージを与える。対象が抜け出すにはSTRかDEXでクリティカル成功する必要がある。
装甲
- 10
- HPが0になれば姿を消し、吠え声だけが聞こえる。その後1D100+10日後に復活する。
魔術
- 呪文:「稲妻を呼ぶ」・「激怒」・「装置を無効にする」・「死体に憑依する」・「夢を送る」・「時間の裂け目」・その他キーパーの任意。
能力
- 吠え声:吠え声を聞いた人間は、精神的、身体的に変化する。
- 噛みつき:イタクァに噛まれた者は、風に乗りて歩むものになる。
- 自然を操る:160km以内で、吹雪や暴風を起こせる。
- 奉仕種族:ノフ=ケーとシャンタク鳥を召喚する。
恩恵
- 風に乗りて歩むものになる:イタクァの声を聞いたり、抱擁されたものは風に乗りて歩むものに変貌していく。
- イタクァの印:イタクァの持つ物品の一つを授けられ、これを通して精神がつながり、場合によってはその容姿や性格に変化が発生する。
- 氷の接触:寒さに対する耐性がつく。
シナリオ導入例・演出のヒント
原作「風に乗りて歩むもの」では
- イタクァを信仰するその町では定期的に若い女性を生贄として捧げる風習があった
- 主人公の男たちは町でその風習を知って生贄の女性を連れて逃げ出す
- 執念深いイタクァに追跡されて一行全員が拉致された
- 拉致先は非常に寒冷な惑星で、大部分の人間は凍死してしまう環境だった
- 1年後に男たちと女性が空から落下して発見された
- 女性は既に凍死しており、男たちはかろうじて生存していた
- 男たちは会話もできない状態で、意識を取り戻した後すぐに死亡した
- この落下は、惑星から地球に向けて投げ捨てられたものと推測されている

原作のイタクァは女好きだし、人間との間に子供を持っていたり、妙に人間味がある邪神なんですよね。
シナリオ導入例
1:救出作戦型
- 山間部の閉鎖的な村で「神隠し」が定期的に発生している事件
- 被害者は全員若い女性で、村人は「山の神への捧げ物」と説明
- 家族から娘の救出依頼を受けた探索者たちが村に潜入調査
- 村では異常な寒波と吹雪が周期的に発生している
2: 気象異常調査型
- 特定地域で季節外れの猛吹雪が繰り返し発生する異常気象
- 気象庁から原因調査の依頼を受け、現地へ向かう
- 調査中に地元住民の奇怪な風習と失踪事件の関連性を発見
- 吹雪の中心地で古代からの祭壇と生贄の痕跡を発見

拉致されたら最期。儀式を邪魔して怒らせてもダメだし、探索者の制約が重くなりそうです。シナリオの難易度をどこで調整するか悩みどころです。
演出のヒント
1:極寒環境の恐怖演出
- 段階的寒冷化:イタクァの接近とともに気温が急激に下降
- 生存限界:防寒装備の限界と体温低下の絶望感
- 視界不良:吹雪による視界ゼロの状況での恐怖
- 凍結現象:呼気や涙が凍る極限状況の描写
2:執念深い追跡演出
- 逃げ場のなさ:どこまで逃げても追いかけてくる絶望感
- 痕跡追跡:足跡や体温を感知して確実に追ってくる恐怖
- 時間的猶予なし:休息や準備の時間を与えない容赦なさ
- 障害の無力化:隠れ場所や障害物が意味をなさない絶望
3:異惑星拉致の恐怖演出
- 空間移動:突然知らない場所に連れて行かれる混乱
- 環境の致命性:人間が生存できない過酷な環境
- 孤立感:地球から無限に遠い場所での絶望的孤独
- 時間感覚の麻痺:惑星での時間経過と地球時間の違い
4:因習・伝統との対立演出
- 世代間格差:古い価値観と現代的人権意識の衝突
- 村社会の圧力:外部者への排他性と伝統維持への執着
- 信仰の絶対性:科学的説明を受け入れない頑固さ
- 集団心理:個人の良心より村の安全を優先する思考



邪神の中でも強力で残忍です。無暗に関わってはいけないというプレッシャーは与えた方がいいかもしれません。
イラスト・ファンアート・素材紹介


- イラスト:Onychuk様「Ithaqua by Onychuk on DeviantArt」


- 素材:いむらぼTRPG様「クトゥルフ神話生物素材「イタクァ」SPLL:E192050 – いむらぼTRPG – BOOTH」
単品価格:400円
他の神話生物・魔導書との関連
【相関】
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プテトライト族 関連 | アヴァロス 関連 | クリッサ 関連 |
【関連魔導書】
- 『未開の森林地帯』(1883年、著者不明)